博物書評カテゴリーの記事

「本で楽しむ博物館」をコンセプトにした書籍、河出書房新社から発売
『ニセモノ図鑑 贋造と模倣からみた文化史』
『ニセモノ図鑑 贋造と模倣からみた文化史』

国立歴史民俗博物館の2015年企画展で話題となった「大ニセモノ博覧会」を書籍化した、『ニセモノ図鑑 贋造と模倣からみた文化史』。真贋を超えたニセモノの世界を紹介

2016年秋、河出書房新社から「本で楽しむ博物館」をコンセプトにした書籍が刊行。まずは10月に国立歴史民俗博物館の2つの人気企画展をベースにした、『ニセモノ図鑑 贋造と模倣からみた文化史』『読めなくても大丈夫! 中世の古文書入門』が刊行。

さらに、11月末には奈良文化財研究所の監修で『平城京のごみ図鑑 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』が刊行されました。これらの書籍では、博物月報の主宰も企画・構成でお手伝いさせていただきました。

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「夢物語」の向こうに浮かぶ、江戸時代の人と犬との関係/『犬の伊勢参り』
犬の伊勢参り
犬の伊勢参り

『犬の伊勢参り』仁科邦男著(平凡社新書・2013年)

江戸時代、犬が突然、伊勢参りを始めたという。誰かに連れられていくのではなく、ひとりでトコトコと歩いて行き、参拝までするというのだ。最初に犬の伊勢参りが目撃されたのは、明和8年(1771)4月16日昼頃と、その日時まで判明している。お宮の前の広場に平伏し〈まことに拝礼の状をなせり〉(『明和続後神異記』)という。

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『おにぎりの文化史』、横浜市歴史博物館監修で発売
『おにぎりの文化史』
『おにぎりの文化史』

横浜市歴史博物館で好評を博した「大おにぎり展」(2014年)を、その後の知見も盛り込んで、増補書籍化!

日本を代表する食である「おにぎり」。だがその歴史は意外にも明らかになっていない。横浜市歴史博物館は、2014年秋に、横浜市内から出土した「古墳時代のおにぎり」を手がかりに、おにぎりや穀物の歴史を解き明かす企画展「大おにぎり展—出土資料からみた穀物の歴史—」を開催した。

タイトルこそポップだが、これは炭化したコメの塊などの炭化穀物を中心に取り上げた初めての博物館展示だったという。この展示内容をベースに、最新の知見も盛り込んだ『おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語』が、2019年4月4日、河出書房新社から発売された。

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『古鏡のひみつ』——「鏡」から見えてくる日本の文化の底流
『古鏡のひみつ 「鏡の裏の世界」をさぐる』
『古鏡のひみつ 「鏡の裏の世界」をさぐる』

『古鏡のひみつ 「鏡の裏の世界」をさぐる』新井悟編著(河出書房新社・2018年9月)

まもなく新天皇の即位を迎える。
天皇が即位の際に用いる「三種の神器」のひとつに鏡(八咫鏡)がある。天皇の即位になぜ「鏡」が必要とされるのだろうか?

記紀神話では天岩戸の物語に鏡が登場し、『日本書紀』にも鏡を天皇の位の象徴とする記述(継体天皇、持統天皇など)があることなどから、鏡と天皇の結びつきは相当古いものと考えられる。

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『新版 対日関係を知る事典』—平野健一郎、牧田東一監修・平凡社
対日関係を知る事典
対日関係を知る事典

仕事で日本と各国の対外関係史を調べていて、いい本を見つけた。
図書館には世界各国の概況を記した「世界各国要覧」などがあるが、「要覧」ではここ数年のことしか書いていなかったりする。

しかし、この『新版 対日関係を知る事典』は、歴史時代から近年までの各国と日本との関係を俯瞰しており、意外な関係や共通点に気づかされることが多い。

例えば、イタリア。対日関係では、イエズス会から説き起こす一方、1990年代に小選挙区制を導入したイタリアの現代政治を日本と対比して描き(両国ともイギリスの選挙制度をモデルにした)、戦後の文化協定や姉妹都市などの関係にもふれている。

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