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[萩博物館]

萩の「見もの」は夏に現れる
[萩博物館]

ヒバゴン@萩博物館

 吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允(桂小五郎)、伊藤博文など、幕末〜明治期を語る上で欠かせない人物を送り出してきた山口県萩市。萩博物館はその地に建つ市立の総合博物館である。
 漆喰やなまこ壁を用い、長屋門、土塀などを配した武家屋敷風の外観は、長州藩幕末維新といった展示への期待を高めてくれる。実際、その期待は裏切られることはない。入館して左手に高杉晋作資料室。奥にある常設展示では、萩開府から明治維新まで、長州藩260年のあゆみをたどることができる。
 だが、このあたりの展示の充実さについてはほかのサイトを参照していただくとして(←おい)、ここでは同館のもうひとつの魅力を伝えたい。
 実はこの博物館、萩という地にありながら、なぜか自然科学系にも強いのである。

萩博物館

 萩は日本海に面していながら、対馬暖流が流れ込み、一方で寒流(リマン海流)の影響も受けていて、生物相が豊富な所だ。同館では、毎年夏に自然科学系の企画展を行い、このような萩の自然を取り上げている。
 2007(平成19)年の「君と竜宮城へ」展では、漂着した深海魚リュウグウノツカイを冷凍しておいて、企画展で希望者に直接魚体をさわらせるという珍しいイベントを行った。
 2008(平成20)年には「風雲!昆虫城」展、2009(平成21)年は「マンタの海流大冒険」展を行い、前者は萩の生態系と外来生物を、後者は萩の海の環境問題を扱った。

萩博物館・UMAとの遭遇展

 そして、今年2010(平成22)年は、「UMAとの遭遇〜知られざるミステリーアニマルの世界〜」展(2010年9月5日まで開催中)である。
 同展によれば、ミステリーアニマルとは、UMA(ユーマ)と通称される未確認生物や、人魚・河童などの伝説上の生物、さらに不思議な能力を持つ怪奇生物などの総称である。
 この“怪奇生物”がミソなのだが、まずは展示を見ていこう。

ツチノコ

 入口には「いったん入場されますと、途中で引き返すことはできません」などと恐ろしげな文句が書いてある。入っていきなりヒバゴンの原寸大(?)模型。1970(昭和45)年から翌年にかけて、比婆山麓(広島県庄原市)で目撃された“獣人”である。この模型、庄原市から借りてきたのかと思ったら、「萩博物館所蔵」であった。
 続いてツチノコ。こちらも1970年代に騒がれた“謎の生物”だ。ツチノコの模型(岐阜県・つちのこ館所蔵)の隣に、「いかにもツチノコ!もうこれは間違いない!」と思われる標本が展示されているが、これはオオアオジタトカゲ。東南アジアなどに棲み、1970年代からペットとして日本に持ち込まれるようになったものだ。このペットの導入と、ツチノコ騒動の時期は重なっている、と、展示パネルは言う。
 だが、次いで展示されている第2の標本は、ヤマカガシの変種とも未知のヘビともいわれているもので、展示パネルはツチノコ実在の可能性をわずかながらほのめかしている。

萩博物館 萩博物館

 このあと、クッシーイッシーといったネッシー系の“未確認生物”が写真パネルなどで紹介される。目撃情報は、日本全国10か所にも及んでいるという。
 2000(平成12)年には東京・江戸川でも巨大生物が目撃され、これにはエディーという電子マネーのような名がつけられた。会場には、エディーの正体とされる生物の標本も展示されている。

萩博物館

 順路は、巨大魚タキタロウケサランパサランを経て、河童のミイラ人魚のミイラといった伝説ゾーンへと進む。ご当地ものとして、萩の海潮寺に伝わる「大蛇の頭のミイラ」などが展示されている。
 ただ、ものを見せるだけではなく、生物の霊力について昔の人はどう考えていたのか?——という民俗学的なことを考えさせる構成になっているのが特徴的だ。

クマムシ模型(角孝政作品) クマムシ観察コーナー@萩博物館

 そして最後に怪奇生物のコーナーへ。“萩市内にいたミステリーアニマル”との触れ込みで、巨大なクマムシの模型が登場する。
 クマムシはそこら辺にいる0.5mmほどの無脊椎動物の仲間で、極度の低高温や真空状態、強い放射線にも耐えられるというから、なるほど、“不思議な能力を持つ怪奇生物”であることは間違いない。
 さらに「萩はミステリーアニマルの宝庫」と題して、不思議な生き物たちが次々と紹介されていく。世界で萩の洞窟にしかいないクラモトホラワラジムシ、古文書の間から出てくるサソリのような生物カニムシセミタケ(冬虫夏草)、ハリガネムシザトウムシなど、いずれも彼らの生態を知ると、“ミステリーアニマル”としか言えないような存在である。しかも、これらは身のまわりの自然の中にいる、というのである。

「萩はミステリーアニマルの宝庫」 「萩はミステリーアニマルの宝庫」

 子どもたちが夢中で指さしたりしたのであろう、標本を展示してあるアクリルケースの前面が傷だらけになっていることからもこの企画展の盛況が伺える。
 子ども向けかと思われがちだが、最後、身のまわりの自然に持ってくるところなど、見事である。萩の自然を知ると同時に、身近な生物への関心を呼び起こす展示構成だ。

学芸員の情熱

 パネルや説明文も、ひとつひとつが、大人でも子どもでも対応できるように丁寧に作られている。会場で配布されているリーフレットも、「展示品リスト」やお急ぎの方への「見逃せないチェックポイント」、「萩ミステリーアニマル探索マップ」、英文の企画概要など、細かく用意され、学芸員の情熱を感じさせる展示となっている。

 夏休みの企画展はどうしても宣伝臭の強いタイアップものが多くなるが、同館はそれらとは一線を画して「萩」オリジナルの土着展示を巧みに織り込んできている。
 萩と言えば「歴史」というイメージが強いが、自然科学系好きにとっては、これらの夏に行われる展示は見逃せない。毎年、夏は萩に注目! である。

萩博物館
住所 山口県萩市大字堀内355
TEL 0838-25-6447
開館 9:00〜17:00(無休/臨時休館日あり)
入館料 一般500円、高・大学生300円、小中学生100円
交通 JR山陰本線東萩駅より徒歩25分またはタクシー10分
開館年 2004(平成16)年11月11日
ワンポイント ※「UMAとの遭遇〜知られざるミステリーアニマルの世界〜」展は2010年9月5日まで開催。
 自然史系の常設展示としては「いきもの発見ギャラリー」がある。併設の「ザ・シェリング・バー」は、海岸別に分けられた貝殻をひとり5個まで持ち帰ることができる。貝探しに夢中になっているうちに、海岸ごとの貝の違いがわかるというユニークなものだ。
 また、萩のナツミカンは明治以降の士族授産の過程で導入されたものであるが、これらナツミカンの発展史も展示されている。
 長屋門の「暮らしの館」では、近現代の民具が展示され、レトロな生活用品に囲まれて記念撮影ができるコーナーもある

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屠蘇散

屠蘇散

 年頭の祝い酒「屠蘇」を作るのに欠かせないのが屠蘇散だ。山椒果皮、みかん皮、桂皮などがティーバッグ状になっており、清酒と味醂を適宜加えて一晩漬け込む。最近ではわざわざ屠蘇を作る習慣がないのか、暮れに食料品店へ屠蘇散を買いに行っても「へ?」という顔をされることが多い。
 拙宅では3が日の朝食時にこれを飲むという習慣だったが、独特の香りと甘さで寝起きの胃腸が働き出し、食前に飲むにはぴったりだった。
 これなら、一年中飲んでいれば健康によいのでは?と思って、松の内が明けてからも飲んでいたことがあるが、どうも背徳の感じがして落ち着かない。やはり正月だけに許される味なのだろう。

博物書評

『中廊下の住宅』
青木正夫・岡俊江・鈴木義弘著・住まいの図書館出版局

博物的グルメ

[今日は何の日]食い尽くせ!

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