[感想後記]世界で3体しかないカンムリツクシガモを公開—東京大学総合研究博物館「日本鳥学会の百年」

東京大学総合研究博物館

 東京大学総合研究博物館では、2012年8月17日から9月21日まで、日本鳥学会の設立100周年を記念した「日本鳥学会の百年」を開催している。

 目玉は、世界にわずか3体しか存在しないカンムリツクシガモの剥製。山階鳥類研究所所蔵の門外不出の標本(東大総博サイトより)で、実に50年ぶりの公開だという(しかも、雌雄そろって2体)。

 訪れてみたら、ひっそりとしていて、入口にポスター1枚貼られていない。一瞬、会期を間違えたかと思ってしまったが、ちゃんと展示されているので臆することなく館内へ入ろう。

 展示室の1コーナーのみでの展示であるが(同館による「会場パノラマ写真」)、本棚や標本箱をあしらって、研究室の雰囲気を醸し出している。

 まず、トキがお出迎えし、その後方にアホウドリやタンチョウ、コウノトリの剥製が並んでいて、ひと目を引く。
 カンムリツクシガモはすでに採集から100年近くが経過しているが、ほかのカモとちょっと違う感じの模様がはっきりと現れていた。最初の発見は1877年のウラジオストックで、他の2個体は、オスが1913年か14年、メスが1916年にいずれも朝鮮半島で採集(メスは標本商から購入)された。
 雑種とする説もあったが、江戸時代の屏風によく似た鳥が描かれていたことから「新種」とみなされている。ただ、その後発見されていないので、どうやら絶滅してしまったようだ。

 このほか、オーストンヤマガラ(伊豆諸島の一部に生息する固有亜種。絶滅危惧Ⅱ類)やオサハシブトガラス(八重山地方に生息)、ルリカケス(奄美大島周辺にのみ生息する固有種。絶滅危惧Ⅱ類)などの剥製が展示されているが、筆者がわかるのは説明のプレートが付いていたここまで。
 あとは「鳥クラスタならばわかるだろう」と言わんばかりにプレートもなしで剥製だけが、標本箱や本棚の脇に点々と置かれている。
 ただ、説明がない分、標本そのものをじっくりと眺めて「この鳥はなんだろう?」と類推したり、生物の持つ造形そのものに集中したりするのにはいいかもしれない。

 会場にはヤンバルクイナのタイプ標本(生物に学名を与えるときに、その基準となる標本)も展示されていた。綿が敷き詰められた標本箱で、棺の中に眠るように横たわっていた。

東京大学総合研究博物館「日本鳥学会の百年」
住所 東京都文京区本郷7-3-1
TEL 03-5777-8600
会期 2012年8月17日〜9月21日
開館時間 10:00〜17:00
休館日 8/19、26、9/2、9、15〜17
入館料 無料
交通 東京メトロ・都営大江戸線本郷三丁目駅より徒歩6分