植物の多様性を展示[筑波実験植物園]

筑波実験植物園

 筑波研究学園都市にある、国立科学博物館の植物園。実験植物園とはおどろおどろしい名称だが、主に絶滅危惧植物を中心とした植物の収集・保全や、植物の多様性についての研究が行われている。
 その一端は展示からもうかがい知ることができて、例えば中央広場の池にあるコシガヤホシクサは、自然状態ではすでに絶滅(野生絶滅)してしまった一年草の水草で、現在、野生への復帰を目指して種まきなどが行われている。

 春から夏までは水中で生活をし、水位が低くなる秋に水上で花をつけるという、自然界における季節の絶妙な推移を利用して棲息してきた植物なので、その栽培もプランターに野菜のタネを播くようなわけにはいかないらしい。こういう植物が、人知れぬ山奥の渓流とかではなく、地球上で埼玉県越谷市と茨城県下妻市にのみ分布していたという事実には驚かされた。

筑波実験植物園

 植物は自分では移動できないため、その分布が極端に限られているものが多い。日本のように島が多く、複雑な地形を持つエリアではなおさらだろう。植物7000種のうち約40%が日本にのみ棲息する固有種であり、絶滅危惧植物は1700種になるというから、自然保護の面のみならず植物の進化や環境適応を読み解くためにも研究は欠かせない。
 しかしながら、園内に植生されている絶滅危惧植物を眺めてみても、花でも咲いてなければ地味な存在だ。とくにシダ類に至っては、筆者には全部同じに見えてお手上げだった。

ヒスイカズラ@筑波実験植物園

 中央広場の左手にある温室に入ってみる。サバンナ・熱帯雨林・熱帯資源植物・水生植物の4つの大温室から構成されている。
 熱帯雨林温室ではちょうどヒスイカズラが鮮やかな青い花をつけていた。ヒスイカズラはコウモリによって受粉を行っているらしく、この青はコウモリを誘引する色らしい。

筑波実験植物園

 においをかいだり、さわったりできるコーナーも設けられている。ふわふわだったり、ぷにぷにだったり、見かけとはまったく違う触感のものもあって楽しめる。
 屋外展示は「世界の生態区」と「生命を支える多様性区」からなる。前者は針葉樹、広葉樹などが植わる林。散策していくうちに、足元がさらさらするなと思ったら、ハマナシなどが植生された海岸性砂礫地植物区画だった。夏の海水浴を思い出す。
 後者は、衣食住など生活にまつわる植物や筑波山の植物などの紹介。建材や食用、さらに垣根などの利用別に植栽されている。園内の解説板も多からず少なからずでほどよい感じがした。

国立科学博物館筑波研究施設(標本棟)

 同園ではさらに「植物園 研究最前線」や「とことんセミナー」などの講座が開講されており(要事前申込)、植物園の実験研究で得られた知見をより詳しく知ることができる。
 なお、植物園に隣接して国立科学博物館の筑波研究施設があるが、今後はその標本棟の一部を眺められるコーナーがオープンする予定だという(写真左・写真は2012年4月22日の「科博オープンラボ」における先行公開時のもの)。

国立科学博物館 筑波実験植物園
住所 茨城県つくば市天久保4-1-1
TEL 029-851-5159
開園 9:00〜16:30(月曜、祝日の翌日、年末年始休館)
入園料 一般300円、高校生以下無料
交通 つくばエクスプレスつくば駅よりバス5分「天久保二丁目」下車後、徒歩8分
開園年 1983(昭和58)年10月。2008(平成20)年10月に「生命を支える多様性区」がオープン
ワンポイント 園内に飲食施設はない(飲み物の自販機のみ設置)。弁当の持ち込みは可能だが、食事できる場所は「中央広場」や「温帯資源植物」中央の芝生コーナーなどに限られている。