信長時代の楽市場を再現[岐阜市歴史博物館]

岐阜市歴史博物館

「体験・体感型の博物館」を売りにしている岐阜市歴史博物館。原始・古墳時代から現代までを順に追っていく展示で、銅鐸を鳴らしたり、浮世絵の重ね刷りを試すことができるのであるが、中でも出色は「戦国ワンダーランド」だ。
名前はどこかしらB級感が漂うが、織田信長時代の楽市場の一部を原寸大で復元している。建物は4棟ほどだが、これが丁寧に造り込まれているのだ。


岐阜市歴史博物館

ひとくちに原寸大といっても、なかなか木造建築の物証のない時代。間口は清洲城下町の事例を引き、3種類の規格があるなかの5mと7.5mを採用。また、16世紀当時、岐阜・愛知県下における「一間」の長さがどれだけであったのかは不詳のため、江戸時代の東海圏での一般的な数値(6尺2寸5分)を用いたという。

さらに信長は主要道の幅を約7mと定めているが、ここでは展示室のスペースの都合から5mで造った旨、断り書きがなされている。間取りや内部の仕様については一乗谷朝倉氏遺跡(福井県)などを参考にしたという。

総力を挙げて、当時の原寸大に迫ったといってもよい。

岐阜市歴史博物館

本格的なのは建物だけではない。このエリア、マネキンは白塗りで表現されているが、馬が妙に小型なのにお気づきだろうか。これは日本在来馬の木曽馬をモデルにしたものだ。
さらに、道ばたにさりげなくいる犬は、古い日本犬の形質を伝えるとされる川上犬(長野県)をベースに、愛知県の遺跡で出土した犬骨を参考にして制作されたという。

また、女の子の髪型は16世紀の洛中洛外図屏風から再現したとか。建築模型のように白塗りだからといって油断はできないのだ。

岐阜市歴史博物館

 

岐阜市歴史博物館「信長の料理」

魚屋の店先をのぞくと、白塗りの店員さんとリアルな魚の模型が交錯し、写実と抽象(?)が混じり合う不思議な空間。アユやフナ、ウナギなどの淡水魚がメインだが、タイやアジなど海水魚の姿も。海の魚に軽く塩がしてあるのは、当時の岐阜の輸送事情を伺わせる。

家屋内には「信長の料理」の復元展示がある。堺の商人・津田宗及の記録をもとにしたもので、焼いたフナを煮付けたもの、白魚の吸い物、雉肉の焼き鳥、サケの塩引き、白鳥の汁ものなどが並ぶ。なお、この時代、醤油はまだ発明されていなかったらしい。刺身は何で食べたのだろうか。

岐阜市歴史博物館

 

岐阜市歴史博物館「衣装体験」

このエリアも随所で体験ができる。バイという巻貝をコマにした「ばいごま」を回したり(今日のベイゴマのルーツでもある)、盤双六(ばんすごろく/西洋ではバックギャモン)で遊んだりできるのだが、なんと信長や斎藤道三のコスプレまでできるのである。
腰に瓢箪をぶらさげたおなじみの信長や、肩衣の道三、さらに直垂姿の斎藤義竜(道三の子。父を討って実権を掌握する)にもなれる。3人で行って信長・道三・義竜の格好をしてカメラにおさまると、ものすごく権謀術数が渦巻きそうな写真になるに違いない。そりの合わない上司と訪れた際には、ぜひお試し頂きたい。

このように博物館内の1コーナーではあるが、ぎゅっとつまった密度の濃い展示になっている。

岐阜市歴史博物館

 

岐阜市歴史博物館

このほか、岐阜から眺めた大パノラマに映像を組み合わせて、信長の生涯をたどる「天下鳥瞰絵巻」や、「長篠合戦図屏風」(複製)と実際の「長篠の戦い」を検証するコーナーなどがある。川幅、槍の長さ、着用している鎧などを史実とつきあわせて検証しているもので、歴史好き、戦国好きは必見だろう。

ミュージアムショップには「天下布武」グッズなどの品揃えもあり、至れり尽くせりという感じだ。この博物館は岐阜公園に位置しているので、外に出れば、信長居館跡の遺構がたたずみ、見上げれば岐阜城がそびえている。

JR岐阜駅ビル「楽市楽座」

帰りに岐阜駅のショッピングモールに「楽市楽座」というコーナーがあったので、思わずつられて入ったら、ただレストランが軒を連ねているだけだった。
惜しい!ここにも博物館の「戦国ワンダーランド」のようなギミックがあれば、この街にぞっこんほれこんだかもしれない。

岐阜市歴史博物館
住所 岐阜市大宮町2-18-1岐阜公園内
TEL 058-265-0010
開館 9:00〜17:00(月曜、祝日の翌日、年末年始休館)
入館料 大人300円、小・中学生150円
交通 JR東海道本線岐阜駅よりバス15分「岐阜公園歴史博物館前」下車
開館年 1985(昭和60)年11月1日
ワンポイント 2005(平成17)年3月26日にリニューアル・オープンし、体験・体感型の展示を意識した造りとなった。なお、館内は「戦国ワンダーランド」以外は撮影禁止になっている。