壮観!木造校舎の109m廊下[宇和米博物館]

109m廊下@宇和米博物館

愛媛県の宇和盆地は平地の少ない南予地方において、貴重な稲作地帯だった。そのような稲作の歴史と今後の農業のあり方を紹介する施設として建っているのが、この宇和米博物館だ。

だが、ここを訪れた者は、見学後に、コメの知識など何も頭に入っていないことに気がつくだろう。
展示が悪いわけではない。地味ながら、パネルや農具などの展示がある。しかし、それ以上に、強烈なインパクトを持つモノが来館者の面前に広がっているのだ。多くの来館者はこれに驚嘆し、コメの展示なんかどこかに行ってしまう。

宇和米博物館

それが、宇和町が誇る「全長109メートルの廊下」である。


宇和米博物館

この建物は、もともと宇和小学校第一校舎として1928(昭和3)年に建てられた(1990年に現在地に移築)。「日本一の学校を目指した」(西予市教育委員会)とされ、12教室を連ねた平屋建てとなっている。その校舎の端から端を一直線に廊下が貫き、見る者を圧倒する。

宇和米博物館

教室の方は、「コメの種類」などを説明した展示室になっている。が、先ほども述べたような理由から、筆者はここの展示の様子がぜんぜん印象に残ってない。

宇和米博物館

次の教室へ移ろうとして廊下へ出るたびに、目の前に広がる壮大な光景に目を奪われるのである。

宇和米博物館

それでも、順番に見ていくと、昭和50年代チックな教室に行き着いた。机やイスの脚が、それまでのオール木造からスチール製になった時代である。

座ってみたが、膝がつかえて窮屈でたまらない。「教室の再現コーナーかな?」と思って入口を見たら、「研修室」というプレートがかかっていた。もしかして、運(?)がよければ、大の大人が窮屈そうにこの机に座り、研修を受けている姿を見ることができるのだろうか。

旧宇和町小学校第二校舎@宇和米博物館

この旧第一校舎に並んで一段高い所に、1921(大正10)年築の旧宇和町小学校第二校舎がある(上の写真が内観、下が外観)。こちらは弟分の109m廊下ほどのインパクトはないが、地元産の檜をふんだんに使った校舎は、地域の人々の教育にかける熱心さをうかがわせる。

旧宇和町小学校第二校舎@宇和米博物館

教室の入口は、引き戸ではなくドア。金色のドアノブから、大正という時代を感じた。内部は教育資料・活版資料展示室になっている。

宇和米博物館

さて、この施設では、109mの廊下を使って雑巾がけのタイムを競う「Z-1グランプリ」が行われていることでも有名だ。窓側に名札がかかり、参加者のタイムを記録している。自分は子どもの頃、100mを何秒で走ったかなと思い出しながら見ていくと、20秒台の人が大勢いて仰天する。雑巾をかけながらの記録なのである。「ワールドレコード」は18秒23(2010年10月10日記録)だという。

宇和米博物館

事務の方にどんな人が参加するのか尋ねてみたところ、遠方からの参加者もいるが地元の高校生などが多いとのこと。高校生たちは、時々来て練習していくという。やはり好記録の陰には日々の自主練が欠かせないのだ。

宇和米博物館

この109m廊下、おもしろいことに廊下に併走して土間(たたき)が設けられている。

校舎の前面に数カ所、扉があるので、子どもたちは廊下からたたきへ降りて靴を履き替え、校庭へと飛び出していったのだろう。この廊下が現役だった当時、子どもたちの動線は縦(109m)ではなく、横だったと思われる。その意味では「日本一幅の広い廊下」とも言えるのかもしれない。

宇和米博物館
住所 愛媛県西予市宇和町卯之町2-24
TEL 0894-62-5843
開館 9:00〜17:00(月曜と年末年始休館。月曜が祝日の場合は火曜休館)
入館料 大人200円、子ども100円/開明学校、宇和民具館、宇和先哲記念館とセットになった共通券(大人400円、子ども200円)もある
交通 JR予讃線卯之町駅より徒歩10分
ワンポイント  地元では「日本一長い旧木造校舎の109メートル廊下」を名乗っている。戦後造られた現役の木造校舎の中には、旧宇和小学校第一校舎を上回る147mの廊下を持つ赤石小学校(青森県鰺ヶ沢町)などがあるため、「旧」を名乗っているのであろう。ストレートに「日本一長い廊下」を名乗れないもどかしさはあろうが、常時だれでも100m級の廊下を体感できる施設として貴重である。