目の前に広がる瀬戸内海[JR予讃線下灘駅]

予讃線下灘駅

 高松から松山を経て宇和島へと至る予讃線は、燧灘、斎灘、伊予灘、豊後水道と名を変えていく海を車窓から楽しむことができる。
 なかでも海を間近に眺められると評判なのが、下灘駅だ。JR信越本線の青海川駅同様、観光ポスターに取り上げられることも多い「海近」の駅だ。
 ホームに降り立つと、海がほとんど視野角180度で広がっている。ホームのベンチに座っていると、列車を待っているのか、海を眺めているのか、わからなくなってきそうだ。

予讃線下灘駅

 海と反対側にある、改札口のところまで行って振り返ってみると、ホームの屋根や柱が額縁で、海と空を描いた絵画のようである。
 このまま海に飛び込めそうだが、実際には、駅と海との間に国道が走っている。せっかくなので、海岸に降り立ってみたかったが、駅の改札口から海へと降りるルートはあたりには見当たらなかった。地図を見ると、500mくらい歩かないと海側の国道へは出られないようだ。
 目と鼻の先にあるのに、海はかなり遠い。額縁の絵のように、実際の波に触れられなかったのはちょっと残念。この道路ができる前は、文字通り目の前が海で、ホームから、駅員が投げ釣りをしていたという逸話もあるそうだ(毎日新聞2011年5月9日付web版)。

予讃線下灘駅 予讃線下灘駅

 下灘駅は無人駅で、小振りの木造駅舎が赤いポストを携えてたたずむ。駅舎内には花が活けられ、写真が飾られている。地元の人たちによって、こまめに手入れされていることがうかがえる。
 来訪者のためのノートも置かれ、
「ケンカ(俺悪い)あとの夕日。彼女の様に美しい。」
といった、書き込みも散見される。海と夕日に加え、旅情を誘う鉄道までもが見事にセットになった同駅では、情感もひとしおだろう。ひとりで反省(?)するにはうってつけかも知れない。

予讃線下灘駅 予讃線下灘駅

 同駅は、松山から約30km。列車の本数は比較的多い。上り列車と下り列車をうまく組み合わせれば、駅に降り立って20分ほどの散策を楽しむことができる。ただし、時として60分ぐらいの待ち時間になることもある。絵画の鑑賞時間は列車次第というわけだ。

JR予讃線下灘駅
住所 愛媛県伊予市双海町
交通 松山駅よりJR予讃線普通列車で60分。伊予市駅より同30分。伊予大洲駅より同40分
開業年 1935(昭和10)年
ワンポイント 駅のホームでは、毎年9月に「夕焼けプラットホームコンサート」が行われている。伊予灘に沈む夕陽を背景に、アマチュアミュージシャンやプロのゲストがライブを行う。1986(昭和61)年以来とのことなので、もう四半世紀の歴史を持つ。次回は2011年9月3日(土)に開催予定。