ナマケモノさがしを楽しむ[千葉市動物公園]

千葉市動物公園

 鬱蒼と広がる樹林に懸命に目をこらす。わずかに灰色のようなものが見えるが、樹皮と紛らわしくて区別がつかない。
 と、大きな2本のツメでゆっくりと枝を移動し始めた。
「あぁ、いた、いた!」「わかった!わかった!」観客からそんな声が上がる。
 ここは、千葉市動物公園にある動物科学館のバードホール。

千葉市動物公園

 名前の通り、熱帯雨林をテーマにした温室内に、オニオオハシやオウギバトなどが放し飼いされているのだが、それだけではなく、フタユビナマケモノの親子が4匹暮らしているのである。
 お気に入りの場所は決まっているようで、「だいたいこのあたりにいます」という写真付きのパネルが展示してあった。それでも動いてくれないことには、なかなかわからない。4匹さがすのは容易なことではない。

千葉市動物公園

 探し疲れて、天井を見上げると、通風ダクトの脇、金属製のハシゴのところにぶらさがっていた(左写真の矢印部分)。「これは反則だろう…」と思わず苦笑。
 これだけナマケモノに広いエリアを提供している動物園もそうそうないのではなかろうか。同園は人工哺育によって成体まで育てた、国内初の成功事例(2008年)を持っており、ナマケモノに関してはキャリアがあるという。
 と、突然、激しい雨が降ってきた。日に一度、餌のまえに人工スコールを降らせており、「このスコールのあとになると、ナマケモノの動きが活発になります」と飼育係の方。

千葉市動物公園 ボーントンネル@千葉市動物公園

 館内にはこのほか、スローロリスなどの夜行性動物展示室、小型サル展示室などもあるが、鳥の骨を模した「ボーントンネル」(上の写真右)というのが目をひいた。
 鳥は軽くて強い骨格を維持するため、骨は中空で、内部がトラス構造になっているという。このトンネルはその内部構造を再現したものだ。

レッサーパンダ風太の像@千葉市動物公園 レッサーパンダ風太@千葉市動物公園

 いきなりインドアのナマケモノに見入ってしまったが、屋外はモンキーゾーン、草原ゾーン、子ども動物園など6つのゾーンに分かれて、展示が広がっている。
 小動物ゾーンでは、かつて「2本足で立つ姿がかわいい」と評判になったレッサーパンダの風太の像が立ち、親子連れが記念撮影に楽しそうだ。ふと、振り返ると、当の風太がうろうろしている。まだご健在なのだ!
 風太は2003年生まれで、レッサーパンダの寿命は約15年というから、今は壮年といったところだろうか。陽が斜めになってきたからか、飼育小屋の中に入りたそうにしていた。

千葉市動物公園 千葉市動物公園

 春の陽射しにくつろぐゴリラや、動かない鳥として有名なハシビロコウ、妙にハイテンションで大車輪の演技を披露するクロテナガザルなどを眺めていると一日中楽しめる施設であるが、展望デッキの下にあるミニ水族館「都川いきもの広場」もちょっとのぞいておきたい。

都川いきもの広場@千葉市動物公園

 2010(平成22)年7月にNPO法人などと共同でオープンしたもので、千葉市内を流れる代表的な河川・都川に生息するメダカ、モロコ、モツゴ、テナガエビ、シジミなどの水生動植物を展示。
 ウナギ水槽の脇には「蒲焼きをまぬがれた幸運なウナギ」とのパネルがかかっていたりして、手作り感があふれている。
 アユの水槽などは現在カラ、カメの水槽も冬眠中なので不在と、自然の季節感も感じ取れると同時に、都市を流れる身近な河川の生き物を再確認できる展示となっている。

千葉市動物公園

 2011年の今年、千葉市動物公園は、震災と鳥インフルエンザのWパンチに見舞われた。現在でも水鳥などの放鳥飼育を制限したりしている。でも、4月15日からやっと通常開園にこぎつけた。
 このような時だからこそ、動物園には動物園の果たすべき役割というものがあるだろう。来園者の笑顔を見ていて、そう思った。

千葉市動物公園
住所 千葉県千葉市若葉区源町280
TEL 043-253-0200(テレフォンガイド)
開園 9:30〜16:30(月曜と年末年始休園)
入園料 大人500円、小中学生100円
交通 JR総武線千葉駅より千葉都市モノレールで10分。動物公園駅下車後すぐ
開園年 1985(昭和60)年4月28日、1次開園。1988(昭和63)年4月20日、動物展示施設が全て完成し、2次開園。
ワンポイント お弁当を広げるには、中央広場のケヤキ並木や芝生広場がおすすめ。レストランや喫茶室、軽食を販売する売店も多く便利。