[今日は何の日]サザエさんの日

サザエさん

誰かがそう決めているわけではないが、もし「サザエさんの日」を制定するとすれば、今日になるだろう。1946(昭和21)年のこの日、福岡の「夕刊フクニチ」に『サザエさん』の連載が始まったのだ。

当時の社会状況は惨憺たるものだった。戦争が終わった1945(昭和20)年よりも食糧事情が悪化し、政治経済は混乱を極め、復興の方向性すら示せない時代だった。

例えば、食糧の供給熱量で見ると、戦前の1938(昭和13)年が2135kcal/日であったのに対し、1946(昭和21)年は1449kcal/日、1948(昭和23)年になっても1851kcal/日と戦前の水準にはるかに及んでいない(『昭和経済史』竹内宏)。1947(昭和22)年12月の上野駅での死者は85人。ほとんどが栄養失調や病死であった(『東京都の百年』石塚裕道、成田龍一)。

そんな、明日の仕事や食糧のメドも立たないような、日本のどん底の年に『サザエさん』は登場した。

大金持ちの子供とか、海の向こうの冒険譚などの浮世離れした設定ではなく、等身大の家庭生活のなかで笑いを見いだしたこの漫画は、以後、国民的な人気を得ていく。どん底の時、混乱の時に、なにが人々を勇気づけるのかということを考えさせられる作品でもある。

作者の長谷川町子(1920〜1992)は福岡の海岸を散歩しながら、構想を練った。そのため、登場人物がすべて海産物に由来したものになったという。現在、福岡市早良区西新6丁目に記念碑が立つ。