[感想後記]初期『サザエさん』トーク&読書会

初期『サザエさん』トーク&読書会

 2011年4月3日(日)、ソーシャルスペース「つむぐ」(千代田区東神田)にて、初期『サザエさん』トーク&読書会を行いました。当日は、家族連れでの参加もあり、小学生から大人まで11名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

 『サザエさん』は、1946(昭和21)年、夕刊フクニチに連載が始まり、途中から朝日新聞に舞台を移して、1974(昭和49)年まで続いた作品です。
 初期の『サザエさん』を読むことで、停電や断水があり、エアコンやコンビニがない生活を笑いながら(?)シミュレーションして、「3・11以後」の新しい社会のヒントを探ろうという趣旨の催しでした。

初期『サザエさん』トーク&読書会

 会場には昭和20年代の『サザエさん』の単行本を用意し、自由に読んでもらいましたが、皆いきなりの熟読モード。
 60年以上も昔に描かれた作品にシームレスに読みふけってしまうというのは、『サザエさん』がマンガとして今なおおもしろさを保っている何よりの証拠なのでしょう。

 『サザエさん』の連載が開始された1946(昭和21)年は、戦争が終わった前年よりも食糧事情などの社会状況がひどかった時代。そんなどん底の年に登場した『サザエさん』は、日本の復興や戦後史とともにあった作品といえるでしょう。
 作者の長谷川町子(1920〜1992)は、小物をこまごまと描き込む画風だったので、その描写は、昭和の生活史としても貴重な価値があります。マンガをひもとくだけで、時代時代の空気や世相がうかがえるかと思います。

サザエさん

 読み進めていけばわかるように、家事をするのにも、主な熱源は薪と炭とささやかな電気。買い物も、スーパーのレジ袋など下げておらず、マイバッグ持参が当たり前。豆腐なんかは手に持って歩いています。
 リターナブルの一升瓶を下げて持ち歩く専用のネットなどもありました。
 もちろん、すべてが今すぐ現代に応用できるというわけではないですが、ビニール袋やプラスティックのない時代、何をどう使っていたか?——という点などに注目して読むと、考えさせられるところがあると思います。

 参加者からは、

「登場してくる道具が便利そう。今みたいになんでもかんでも消費してしまうわけではない」

「今は『あるものを使う』という発想で、ない時どうしようとか、使えない時どうしようといった想像力がこの当時の人より劣っちゃったかなと思う」

「地震以後、隣近所で声を掛け合うことが多くなった。サザエさん時代のコミュニケーションが復活している感じ」

「(現在の節電なども)貧しいとかツライとかじゃなくて、その中で楽しみながらやっていければいい」

「いま電気の節約とかでたいへんだけど、この時のひとは慣れちゃってケロっとしている」(小学生の参加者)

といった感想があがりました。

節電中の地下鉄駅

 私たちはエコだなんだと言っても、「必要に応じて資源は無尽蔵に供給される」という考えがすり込まれてしまっています。でも、この(これからも続くであろう)一連の「節電騒動」は、エネルギーや資源に対する考え方を再確認していくひとつの機会になるのではないでしょうか。

 参加者のおひとりが、「地下鉄の駅名表は今、蛍光灯が消えていて非常に見にくいんだけれども、そもそもあそこに蛍光灯がいるのか?あそこは普通のボードでいいんじゃないかというように、今は『いるもの/いらないもの』仕分けがされている時期なのかな」との感想を述べていました。

 「3・11」という悲しい出来事を、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」にするのか、それとも新たなる転機にするのかは、ほかでもない私たち自身が決めることなのだと思われます。

 ご参加いただいたみなさまに御礼申し上げます。

※なお、当日会場にてお預かりしました東日本大震災(東北地方太平洋沖地震) の義援金6,208円を、日本赤十字社にお送りさせていただきました。ありがとうございました。