[感想後記]東京大学総合研究博物館小石川分館「ファンタスマ——ケイト・ロードの標本室」

標本をアートのように並べた展示手法が話題の東京大学総合研究博物館小石川分館で、2010年11月6日から「ファンタスマ——ケイト・ロードの標本室」展が開かれている。
ケイト・ロードはオーストラリアの現代アーティストで、この企画展が日本において初の作品紹介となる。というわけで、筆者もこの人がどんな人物なのかも知らないのだが、「動物の剥製をモチーフにした彫刻作品を数多く制作」し、「人工のマテリアルを用いたこれらの作品は、そのカラフルな色使いから一目で架空のものとわかる独自の世界観をもつ」(同展ポスターより)という。


なるほど、ケバい。だが、見ていると、どれが館蔵の標本でどれが作品なのか、だんだんわからなくなってくる。シックな標本とケバケバさが妙に中和して見えてくるのだ。その感覚の揺れがおもしろい。
標本の陳列棚のところにさりげなく作品がまぎれこませてあったりすることもある。純粋にアートとして鑑賞しても良いが、もっと下世話に、あ、いや、気楽に、「間違い探し」のような気分で楽しむこともできる。

この「間違い探し」にしたって、ケイト・ロードの作品は「ボク、ニセモノ!」といわんばかりに派手な色をしているのだが、にもかかわらず、「これ、もしかして本物の標本じゃないか」と思わせるものもあったり、あるいは逆に「これ、作品?」と思わせる標本もあったりして、油断(?)ならない。企画者と作者の思う壺だろうか。2010年12月5日まで開催。


東京大学総合研究博物館小石川分館「ファンタスマ——ケイト・ロードの標本室」 | |
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住所 | 東京都文京区白山3-7-1 |
期間 | 2010年11月6日〜12月5日 |
開館 | 10:00〜16:30(月〜火曜日休館。ただし11/23は開館) |
入館料 | 無料 |
交通 | 地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅より徒歩8分 |
ワンポイント | 東京大学総合研究博物館小石川分館の建物については、こちら。隣接する小石川植物園(東京大学大学院理学系研究科附属植物園)の魅力についてはこちらをご参照下さい。 |