惜しげもなく展開する大水槽[アクアワールド茨城県大洗水族館]

アクアワールド茨城県大洗水族館

 荒波が洗う鹿島灘に面して建つアクアワールド茨城県大洗水族館は、館外の波に負けじと、大水槽を惜しげもなく展開している。イルカのアクアホールにはじまり、出会いの海の大水槽、サメ水槽、マンボウ、ラッコなど、これでもかといわんばかりに大型水槽が展開する。
 サメは飼育種類で、マンボウは飼育数でともに日本一というだけあって、見応えのある展示だ。

「海藻の海」

 さて、海の魅力といえば、「潮が渦巻く大海原」というのもよいが、波打ち際のちゃぷちゃぷという感じも捨てがたい。
 同館では、それもちゃんと観察できるようになっているのである。エントランスを入って、右手に展開する「海藻の海」では、カゴカキダイをはじめとする磯浜の魚類が泳ぎホンダワラなどの海藻が揺れる近海の様子をスパッと断面切りにして見られるようになっている。

「海藻の海」外観

 この水槽の構造は、館外のオーシャンゾーンへまわれば、よくわかる。巨大な磯浜と潮だまりが本館に張りついたかのような形で造られている。
 ほとんどのお客は、同ゾーンにあるペンギンやアシカのコーナーに夢中で、この磯浜がさっき見た「海藻の海」とは気がつかないかもしれないが、近海のありふれた磯のようすを、「外」と「中」から観察できる展示構成なのだ。

大洗水族館 マンボウ@アクアワールド茨城県大洗水族館

 同館は、「7つの日本一」を自慢としている。即ち、サメの飼育種類52種、マンボウの飼育数8匹、世界最大級のマンボウ剥製、世界最大のウバザメの剥製、日本唯一のイモリザメの展示、全種類18種のペンギンの鳴き声を聞くことができるコーナー(世界唯一という)、そして、水族館では最大規模というキッズコーナーである。
 キッズコーナーは、魚の形をしたジャングルジムや滑り台を備えた屋内ちびっ子広場など、子どもが楽しめるような試みを随所にちりばめている。すぐわきにタッチングプールなどもあり、展示だけでは飽きてしまう子どもには好評のようだ。

大洗水族館

 しかし、正直ずいぶんいっぱい詰め込んだなぁという感じもする。ラッコもいる、アザラシもいる、ペンギンもいる、マンボウもいる、鳥のエトピリカだっている。
 あれもこれも全部みせちゃいます、という。この盛りだくさん感は、まるで民主党のマニフェストのようである。ここまでしなくとも政権交代はできたのでは…じゃない、お客は十分来るのではないかと思われるが、ともかくも目移りするぐらい飼育生物がいるなかで、サケの展示も忘れずに見ておきたい。

シロザケ@アクアワールド茨城県大洗水族館

 茨城県はシロザケ(鮭)が回帰してくる南限といわれ、水族館のすぐそばを流れる那珂川にも多くの鮭が遡上する。また、サケの人工孵化と放流はこの那珂川で始まったとされているので、茨城とサケは浅からぬ縁なのだ。
 同館では冬〜春には稚魚が、秋には川を上ってきた成魚が見られる。

 また、大洗町には関東地方で最大の汽水湖・涸沼があり、シラウオなどが生息しているのだが、これも「汽水の生物(涸沼)たち」というコーナーでひっそりと展示されている(期間限定)。

大洗水族館

 さらに4階にある企画展示室は、うっかりすると通り過ぎてしまいそうなコーナーだが(イルカ・アシカオーシャンライブの開始時間などに気を取られていると特に)、良質な展示が行われている。
 一例をあげれば、2003年11月から2004年1月にかけて行われた企画展示「海岸に漂着する鯨類」では、なぜクジラが座礁するのかといったところから(遠浅の海岸で音波での方向感覚を狂わされたという説や地磁気の変動が影響しているという説など)、座礁クジラを発見した時の対応策まで解説し(茨城では、大洗水族館をコアに県警や漁協などと、座礁クジラ発見時の通報システムが確立されているそうだ)、外洋に面しているため座礁クジラが多い、茨城県ならではの研究成果が展示されていた。

 綺羅星の如くスターがいるなかで、同地ならではの展示というのも見逃さないようにしたい。

アクアワールド茨城県大洗水族館
住所 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8252-30
TEL 029-267-5151
開館 9:00〜17:00(GW、夏期は延長あり/年数日、メンテナンス休館あり。2010年は6月28〜29日、12月6〜10日)
入館料 一般1800円、小〜中学生900円、幼児300円
交通 鹿島臨海鉄道大洗駅よりバス15分
ワンポイント 水族館の入口手前にあるフードコートでは、軽食・ファストフードなどのほか、寿司屋や海産物販売所があり、水族館を見学していて魚が食べたくなってしまったという人たちを手ぐすねひいて待っている。