博多古今の早めぐり[「博多町家」ふるさと館]

「博多町家」ふるさと館

 博多古今の早めぐりを手っ取り早くやろうと思えば、まずは博多駅博多口より歩いて15分ほどの櫛田神社へ。
 櫛田神社は、博多祇園山笠のメインステージでもあり、博多の守り神でもある。境内にある「飾り山」の常設展示を拝見したあと、参拝。

 脇を見ると、伝統とテクノロジーの美しき調和とおぼしきお神籤自販機が——と思ったが、自動販売機という文明の利器を装いながら、コインを入れずとも開くのであった。

櫛田神社お神籤自販機 櫛田神社お神籤自販機 櫛田神社「飾り山」

 境内には不老長寿をもたらすという湧水「霊泉鶴の井戸」なる、ありがたい泉がある。さすが博多の守りを司る社だ。

櫛田神社「霊泉鶴の井戸」

 案内板には「この霊泉をいただくには
 一口目に、自分の不老長寿を、
 二口目に、家族の不老長寿を、
 三口目に、親戚縁者の不老長寿を、
 念じて飲」
めと書いてある。

 では早速いただきます、「うげっ…」。

 じつにしょっぱい。塩水などという生やさしいものではない。海水である。脇の成分表をよくよく見れば、「飲用は盃1杯までが限度です」と書いてある。
 地下で長年、濾過されていたのであろうか、ナトリウムのコクとうま味が実によくでている。3口も飲むのは拷問に等しい。
 かくして、自分のみの不老長寿を願うだけで挫折。許せ、お袋。

櫛田神社

 そもそも博多とは、奈良・平安の昔から大陸への要港であり、市の中心部を流れる那珂川を中心に栄えてきた町である。河口に砂がたまるように、海側へ海側へと発展していった。今でも、ベイサイドプレイス博多埠頭や福岡ドーム、キャナルシティ博多など、新しいスポットは常に海側か川岸にある。
 その意味で、博多の守り神から吹き出す泉が、海水なのは、この町のアイデンティティを物語っているといえるのかもしれない。あぁ、しょっぱかった。

 境内には博多歴史館が併設されており、祇園山笠の映像を見ることができる。

「博多町家」ふるさと館

 こうして、櫛田神社の参拝が終わったら、歩いて2分ほどの「博多町家」ふるさと館へ行こう。ここも、伝統的な博多がコンパクトに詰まっている。

 1階部分では「博多弁講座」が楽しめる。壁掛け式の電話機が3台あり、受話器を耳にあてると博多弁についての解説が聞けるという仕組み。内容はおのおの異なっていて、初級編、対話編、博多にわか編がある。
 博多にわかとは、同じ読みの言葉を使ってオチをつけ、笑わせるという博多の庶民芸能。「ボキャブラ天国」や「空耳アワー」などのバラエティで一時代を築いたタモリが博多出身であることを考えると、彼の言葉や音に対する俊敏な感覚は、この「にわか」によって育まれたのではないかと思えてくる。

「博多町家」ふるさと館の博多弁講座 「博多町家」ふるさと館ののぞきからくり

 その隣は「のぞきからくり」で、壁にあいている穴をのぞくと昔の放生会(秋に筥崎宮で行われるお祭り)の様子やカフェの様子をみることができる。
 博多にわかのお面も置いてあり、自由に着用できるのが楽しい。博多に行ったという記念撮影にはうってつけだ。

「博多町家」ふるさと館 「博多町家」ふるさと館

 2階にあがると、明治・大正時代の店がでーんと構えている。かつて博多には裕福な商家「町家」が軒を並べていたのだが、その内部が再現されているのである。
 店は、雑貨屋さんを再現したもので、等身大の人形も配置され、ご隠居さんが孫娘に「八朔の節句」の話をしている。

「博多町家」ふるさと館

 ただテープが流れているだけでなくて、突然、レコードがかかったり、扇風機が動き出したり、柱時計の針が急にぐるぐると回りだしたり、電灯がふっと消えて停電になったり、とアトラクションも豊富なので、腰を下ろして10分ぐらいは見物していきたい。

 この展示棟のほか、博多織の実演をする町家棟やみやげ処がある。駅から徒歩15分、地下鉄祇園駅からだったら徒歩5分なので、列車や飛行機の待ち時間を利用して立ち寄れるのが魅力だ。

「博多町家」ふるさと館
住所 福岡県福岡市博多区冷泉町6-10
TEL 092-281-7761
開館 10:00〜18:00(年末年始休館)
入館料 一般200円、小〜中学生無料
交通 JR鹿児島本線博多駅より徒歩15分または福岡市営地下鉄祇園駅より徒歩5分
ワンポイント 同館の「みやげ処」は、お菓子などのバリエーションが豊富。博多の駅に戻って買うよりはここで購入した方がいいものもある。