博物館から感じる神社の起源[大洗磯前神社]

大洗磯前神社

 大洗といえば、ざぶんと波のかかる大鳥居が有名だが、その鳥居の持ち主が、この大洗磯前(おおあらいいそざき)神社である。
 この鳥居、正式には「神磯(かみいそ)の鳥居」という。振り返ると、100段あまりの石段を備えた「二の鳥居」が社殿へといざなっている。

二の鳥居 大洗磯前神社
 大洗磯前神社は856(斉衡3)年創建と伝わり、大己貴命と少彦名命を祀る大洗の中心的存在の神社であるが、境内に博物館を併設していることでも知られている。

 1730(享保15)年再建の社殿の左側にある「大洗海洋博物館」がそれだ。水産や漁業の守り神として歴史を刻んできた同社が、1959(昭和34)年に設立したもの。地元の人の話では、博物館というよりは、ホルマリン漬けの鯨の性器とかがででんと置いてあるような倉庫のような存在だったが、1997(平成9)年にこぎれいにリニューアルした、という。

大洗磯前神社/大洗海洋博物館
 館内に入ってみると、こぎれいにはなっていても、ででんと置いてあるものは置いてあった。
 これは当然、捕鯨関係者から寄贈された物であろうが、こういうものが寄贈されてしまうというところが、原始から連なる祭礼の起源を物語っているようで、おもしろかった。
 そもそも古代の祭礼で祈るのは、陸なら豊作であり、海なら豊漁だ。そして、一族の子孫繁栄である。いずれも生殖に関係あることであり、だからこそ、古来から性器を強調した土偶を作ったり、男根や女陰に似た木や石があればそれをあがめたりした。

 古代の祭礼は、神道と仏教という形で儀式化・儀礼化され、また、明治維新の頃には、男根や女陰を祀るのは邪教淫教として否定されてきたが、それでもなお、クジラの性器を寄贈されたときに、「そんなもの、秘宝館にでも寄贈して下さいよ」とは言わず、特製の水槽をあつらえて、丁寧に液浸標本にしているあたり、太古からの流れを脈々と受け継いでいるというべきか。

大洗磯前神社/大洗海洋博物館 大洗磯前神社/大洗海洋博物館
 館内には、このほか、漁船や漁法の説明、その収穫物たる魚介類の標本が並ぶ。シャコのところに「英語ではガレージとは言いません」などという説明が付いていたりするのもご愛敬。

 漁業とともに歩んできたという神社創建のオリジンを強く感じさせる博物館だ。

大洗磯前神社
大洗磯前神社
住所 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890
TEL 029-267-2637
開館〔大洗海洋博物館〕 8:30〜16:30(4〜9月は〜17:00。水曜休館)
入館料〔大洗海洋博物館〕 一般500円、中高校生300円、小学生以下200円
交通 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線大洗駅よりバス15分