世代間のコミュニケーション増進を図る[台東区立下町風俗資料館]

下町風俗資料館

 古今東西の至宝から骨董品まで、およそありとあらゆるものがひしめいている上野公園界隈。その不忍池の南端に戦前の下町を彷彿とさせる木造家屋数棟が残る。ただし、屋内に。

 一階は、かつてこの界隈で見られた長屋の展示が中心。通りに面した大店(おおだな)と狭い路地を入っていく裏店(うらだな)が再現。目を引くのは、長屋の一角で営まれている(という設定の)「駄菓子屋」。この長屋自体は大正時代をモデルにしているのだが、カラフルな菓子が山積みになった駄菓子屋の店先は、昭和30〜40年代の雰囲気を醸し出している。

下町風俗資料館

 二階に上がると、銭湯の番台や旅館の入口、カフェーの店内などが再現。いずれも入口やカウンター付近など、一部だけの再現展示だが、銭湯では番台に上がることができ、旅館ではガラスの引き戸を開けるといかにもスリッパがずらりと並んでいそうなエントランスである。銭湯、カフェーはともかく、旅館はなぜかといえば、「上野」は、修学旅行や行商人など多くの人々が乗り降りしていたため、かつて旅館が多かったから——というわけで、こんなところも台東区らしい展示となっている。

 二階は特別展示のスペースも兼ねており、特別展の際はこれらの展示がかたづけられて、パネルや品々が並ぶスペースが出現するなど、なかなか機能的な作り。

下町風俗資料館 下町風俗資料館

 ところで、二階で目にとまるのが、階段を昇ってすぐのところにある「昔の遊び道具」のコーナーだ。コマや知恵の輪、ダルマ落とし、竹細工、ゴムをつかったパチンコなどの遊具が並び、来館者は必ずここで数分間滞留する。

 聞けば、一階で昔の暮らしを知り、二階でその当時の遊びを知ってもらおうという狙いで設けたコーナーだそうだ。休日ともなると、おじいちゃん・おばあちゃんと孫とか、親子でにぎわっている。
 小規模なコーナーながら、世代間のコミュニケーションを増すという効能がうまく発揮されているようだ。

下町風俗資料館 下町風俗資料館 下町風俗資料館
台東区立下町風俗資料館
住所 東京都台東区上野公園2番1号
TEL 03-3823-7451
開館 9:30〜16:30(月曜、館内整理日、年末年始休館)
入館料 一般300円、小中高校生100円
交通 JR山手線上野駅しのばず口より徒歩5分
開館年 1980(昭和55)年10月1日
ワンポイント 上野・谷中(台東区上野桜木2-10-6)に1910(明治43)年築の商家を移築・展示した「下町風俗資料館付設展示場」がある。こちらは入場無料。