[今日は何の日]U2来日の日

「アサヒグラフ」1960年5月29日号

といっても、ボノさんが来たのではない。

1959(昭和34)年のこの日、機体が真っ黒に塗られ、しかも国籍標識がないという奇妙なジェット機が神奈川県の藤沢飛行場に不時着した(中段左の写真/「アサヒグラフ」1960年5月29日号より)。

これが何を隠そう、米軍のスパイ偵察機「U2」で、日本が知らず知らずのうちに、アメリカの対ソ連戦略の前線基地になっているのではないかと国会で追及されることとなった。

当初、政府は「アメリカの気象観測用の飛行機である」と強弁していたが、翌1960(昭和35)年5月、同型機がソ連で撃墜され、操縦士が捕虜になる事件があって、スパイ偵察機であることが国際的に露見してしまったから、さぁ大変。

太平洋戦争終結から15年しか経っていない当時の日本では、アメリカの対ソ戦略に巻き込まれることへの懸念が強く、折からの日米安保条約改正(60年安保)にも大きな影響を与えることになる。

ところで、この騒動の発端をもたらしたのは、意外なことにマンガ雑誌の「少年サンデー」である。
1959年の同誌11月29日号に、不時着した機体の写真が掲載され、そこからこの事件が広く世間の知るところとなった。マンガ雑誌のグラビアが、日米関係を揺るがすほどのスクープを放った一例として、日本のメディア史の記憶にとどめられてよい事件だ。