「100年に一度」

SL人吉号

といっても例の大不況ではない。

この日本に、「100年に一度の大チャンス」と沸き立っている地域がある。熊本県人吉市だ。

2009年4月からJR九州が熊本〜人吉間に蒸気機関車「SL人吉」号を走らせているが、運行初日の切符は2秒で完売、以後も予約は満席と好調な滑り出しを見せており、地元では「100年前の肥薩線開通以来の集客のチャンス」(人吉市長)と意気込んでいる。

ただ、西日本新聞2009年6月1日付web版によると、現時点では人吉駅周辺で「1割程度」しか宿泊客が増えておらず、観光客の多くがSLに満足してそのまま帰っていってしまっているようだ。逆に言えば、宿はまだ余席があるということか。

かつて内田百間(間は門がまえに月)が、
〈宝石を溶かした様な水の色が、きらきらと光り、或はふくれ上がり、或は白波でおおわれ、目が離せないほど変化する。対岸の繁みの中で啼く頬白の声が川波を伝って、一節一節はっきり聞こえる。(略)中流の舟に突っ起っていた男が釣り竿を上げたら、魚が二匹、一どきに上がってぴんぴん跳ねている。鮎だろう。〉(『鹿児島阿房列車』)
と描写した球磨川に育まれたこの町は、まだまだ見どころがありそうである。