デンキウナギが頑張る、最古の水族館[マリンピア松島水族館 =閉館]

マリンピア松島水族館

★2015年5月10日で閉館

風光明媚な松島の地に建つ日本最古の水族館がこちら。
現在の建物は1974(昭和49)年築だが、開館は1927(昭和2)年で、同一場所に建つ(移転していない)水族館としては日本最古を誇る。

古い水族館だけあって、飼育の研究も先駆的なものが多く、かつてはマンボウの飼育で世界最先端を走っていたこともある。
マンボウは見かけによらず神経質で、現在でもフラッシュ撮影を厳禁にするなど、気を使っている水族館は多い。同館はマンボウ飼育の黎明期に数々の記録をうち立てた。

マリンピア松島水族館

例えば、マンボウ「プクプク」は、1980(昭和55)年に飼育788日の世界記録を樹立。1985(昭和60)年には、「ユーユー」が世界最長を更新する1379日を記録した。この「ユーユー」は松島町から「名誉準町民」の称号を贈られ(朝日新聞1985年3月17日付)、さらに死亡した時には、瑞巌寺から戒名「夢満坊天洋友游大姉〔むまんぼうてんようゆうゆうだいし〕」が与えられた(『広報まつしま』388号)というから、その偉大さがわかるだろう。

一方、1989(平成元)年にはイロワケイルカの日本初の繁殖に成功するなど、水族館のキャリアに見合った手堅い成果を残している。

テツギョ

松島というと海の印象が強いが、館内を見学すると、意外にも淡水魚展示にご当地色がある。

テツギョという金魚とフナの合いの子のような魚がさりげなく展示されている。フナの突然変異種なのだが、1887(明治20)年頃、山形県の沼で発見され、その後、宮城県の魚取沼(ゆとりぬま)に大量に棲息していることがわかった。1933(昭和8)年、魚取沼はテツギョの棲息地として唯一、国の天然記念物に指定されたというから、宮城県に浅からぬ縁のある魚である。

シナイモツゴという淡水魚も展示されている。一見地味な魚だが、1916(大正5)年に宮城県の品井沼(しないぬま)で発見されたのが命名の由来なので、これはメイド・イン・宮城というわけだ。

デンキウナギ デンキウナギ感電体験

ところで、同館ならではのユニークなポジションでもって頑張っているのは、デンキウナギだ。

各地の水族館で飼育されており決して珍しくはないが、ここのデンキウナギは、夏には仙台名物の七夕飾りを模した飾り付けを発電し、冬にはクリスマス・イルミネーションを発電。空いた時間にはさらに「デンキウナギの感電体験」を行って、お客をしびれさせるという働き者だ。

マリンピア松島水族館

そんな展示を満喫しながらコンコースへ出ると、休憩スペースを軽食・売店コーナーがぐるりと取り囲み、親子連れが思い思いにくつろいでいる。

一見、遊園地風だが、売られている物を見ると、イカ焼き、ホタテ焼きに始まり、サザエ、ツブ貝、タコ足などの焼き物メニューが並んでいる。さすが水族館!

水槽を見ていると、どうしても食欲の方に関心が向いてしまうという方には、たまらないロケーションといえよう。小腹を空かせて来ることをおすすめする。
牛タン焼きまで売られていたのには驚いた。さすが仙台!

同館は老朽化が進んだという理由で、近々建て直しに入るという。同館のキャリアがもたらした功績や、地域の生物相を取り上げたご当地的な展示、ついでに加えて、この休憩所の和気あいあいとした雰囲気は、ぜひ新水族館でも受け継いでほしいと思う。

マリンピア松島水族館 =2015年7月閉館
住所 宮城県松島町浪打浜16
開館 9:00〜17:00(季節・曜日により変更あり/年中無休)
入館料 一般1400円、小中学生700円
交通 JR仙石線松島海岸駅より徒歩3分
開館年 1927(昭和2)年
ワンポイント 現存する水族館としては富山県の魚津水族館(1913年)に継いで日本で2番目に古い。同一場所に建つ水族館としては日本最古を誇る。
【追記】2015年5月10日をもって同地での88年の営業を終えて閉館。飼育担当スタッフと動物は、同館が業務委託契約を結んでいる仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区・2015年7月オープン)に引き継がれた。