思わず奥歯がうずく、日本唯一の医学博物館[医の博物館]

医の博物館

 日本で唯一の医学博物館が新潟の日本歯科大学にある。医学史を教育研究し、同時にその収集した史料を公開する施設である。
——と書くと、なにやらお堅そうな研究室のイメージが浮かんでくる。

 入館するとまずは文書資料のコーナーで、日本最初の腑分(人体解剖)を記録した山脇東洋の『蔵志』やダーウィンの『種の起源』をはじめ、ジェンナー、大槻玄沢、ナイチンゲールなどの原本が並ぶ。
 同時にそれら先人たちの肖像画も掲げられ、なかなかおごそかな雰囲気。ここまでは予想通りか。

医の博物館 薬売りの看板展示

 しかし、順路を追っていくにつれ、いろいろなものがとびだしてくる。

 木製からホーロー引きまでずらりと並んだ薬売りの看板や、身体のツボを示した人体模型。ひと休みできるソファーのテーブルには、医学をテーマにした切手類が展示されている凝りよう。

医の博物館

 助産婦の訓練用の妊婦マネキン模型は赤ん坊の人形付きである。それもちゃんと泣き顔になっている。

 そして歯学部だけあって、歯にまつわる歴史には強い。何の化石かと思うような、木で作られた江戸時代の入れ歯や、歯ブラシと楊子の密接な関係を示す移り変わりの歴史が、実物でもって展示されている。

 さらに、はた目には個人的な趣味の集積としか思えない、爪楊枝の袋のコレクションまで。なぜこんなところに浮世絵がと思ったら、よく見ると、歯を磨いていたり、虫歯を抜かんとして格闘している。もとが歯科だけに、歯磨きと歯医者にとことんこだわっているようだ。

医の博物館

 圧巻は、歯を削る道具。傍らに立つマネキンは、携帯歯科治療機器を手にしている。あの歯医者さんでキーンと音をたてるヤツのハンディ版である。
 その隣には初期の足踏み式のもの。足踏みミシンのようなペダルを踏んで、回転をドリルに伝えて削るもので、お望みとあらば椅子にも座らせてもらえる。一体この機械は、どれぐらいの痛みであろうかなんて考えるだけで、思わず奥歯がうずく。

 ここは、医学が発展していくなかで作られたさまざまなモノがひしめいている。その多彩さが存分に楽しめるスポットである。

日本歯科大学新潟生命歯学部・医の博物館
住所 新潟県新潟市中央区浜浦町1-8 日本歯科大学新潟生命歯学部8号館2階
TEL 025-267-1500
開館 10:00〜16:00(土日祝日と大学の休業日は休館)
入館料 無料
開館年 1989(平成元)年9月
交通 新潟駅から市バス浜浦町行き「浜浦町1丁目」下車徒歩3分または越後線関屋駅下車徒歩10分(日本歯科大学生命新潟歯学部のキャンパス入口を入って右手の8号館)