[今日は何の日]ブッポウソウの声の主はコノハズク

[今日は何の日]ブッポウソウの声の主はコノハズク

「ブッ・ポウ・ソウ(仏法僧)」と鳴く鳥の正体を報じる東京朝日新聞1935年6月16日付。ラジオでの鳴き声の実況中継がきっかけだった

1935(昭和10)年のこの日、6月15日。日本鳥類学会の例会で、鳥類学者の黒田長礼(1889-1978)が、「ブッ・ポウ・ソウ(仏法僧)」と鳴く鳥は、従来信じられてきたブッポウソウ Eurystomus orientalis ではなく、フクロウ科のコノハズク Otus scops であると報告した(東京朝日新聞1935年6月16日付)。

ブッポウソウは日本に渡ってくる夏鳥。濃青緑色の羽毛で、翼にアクセントのような白い斑点をもつ。用語の「仏法僧」とは仏教における3つの宝(三宝)の意味で、美しい姿をしたこの鳥が寺院の山域でよく目につくことから「ブッ・ポウ・ソウ」の鳴き声もこの鳥に違いない、と信じられるようになったとの説もある。

とはいえ、すでに時代もここまで下ると、「ブッポウソウの分布と鳴き声の分布があわない」といった指摘もなされており、「声の仏法僧」と「姿の仏法僧」は異なるというのが、〈七分通りは学界の一致した意見〉(前掲)であった。

それがなぜ、ここにきて事態が急進展したかというと、この6月、NHKラジオが愛知県の鳳来寺山からブッポウソウの鳴き声の実況中継を行った。この時、東京・浅草で傘屋を営む愛鳥家から、飼っているコノハズクが同じ声で鳴くと知らせがあった。
そこで黒田は、このコノハズクを借り受けて観察し、さらに〈上野動物園にゐる姿の仏法僧に就いて夜の観察を古賀園長に乞うたところ、これは夜は餌も食はず全く活動しないことを確め〉(前掲)、ブッポウソウの声の主はコノハズクであるという報告に至った。

このコノハズク、現在でも鳳来寺山(国指定名勝天然記念物)の名物とされている。ただ、生息状況の実態ははっきりせず、鳳来寺山自然科学博物館(愛知県新城市)の調査でも奥三河地方でわずかに確認されただけだったという。

天竜奥三河国定公園(1973年)

1973年に発行された天竜奥三河国定公園の記念切手。左上にコノハズクが描かれている