縄文時代のたべもの事情、埼玉で

埼玉県立歴史と民俗の博物館

埼玉県立歴史と民俗の博物館(写真は常設展示)

遺跡の出土物の中から当時の食生活を知るヒントになりそうな品々を集めた、企画展「縄文時代のたべもの事情」が、埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区)で開催中。会期は2020年1月2日〜2月16日。

貝塚から出土した貝や魚骨、獣骨、遺跡から見つかった木の実、さらにマメを練り込んだ土器や、クルミや巻き貝を模した土製品を展示し、縄文時代のたべもの事情や「栽培」に関する最新研究にアプローチする。

とりわけ注目されるのが、埼玉県和光市の越後山遺跡から出土した、縄文時代中期(約5000年前)の通称「マメ土器」だ。深鉢の土器の外面、内面、底部にあわせて100点以上のマメが練りこまれていたもので、マメ類が豊富にあった食糧事情を伺わせる。このことから、当時マメ類の栽培が行われていたとみる説もある。

縄文時代の海の幸・山の幸の痕跡をたどり、当時の食生活や植物利用と栽培について思いをめぐらせることができる企画展だ。

なお、縄文土器には、この「マメ土器」のように、マメやエゴマ、アズキ類、さらにはコクゾウムシ Sitophilus zeamais (穀物を食べる虫。現代でもお米にわくことで知られる)が練りこまれていることがある。
これらは土器づくりの粘土の段階で混入したものであり、この痕跡が当時の食物利用を裏付ける資料として重要視されている。

これらの異物が土器に練りこまれた理由については、豊穣を祈念して意図的に混入されたとみる説もある一方、「マメ土器」のように多量に練りこまれた物は、数千の土器を調査してわずか0.17%しか見つかっていない(※1)ことから、これを偶然として、縄文人は土器づくりに支障がない限り、〈意外に粘土に混じった余計なものに無頓着〉(※1)だったとする説もある。