客が入ると建物が傾く水族館[下田海中水族館]

 海中という言葉には、洋上のまっただ中という意味と、海の水面下という意味の2種類を感じさせてくれるものだが、そのどちらの先入観をも満足させるのが、この「下田海中水族館」だ。
 水族館の「本館」はなんと洋上。これにはアクアドームペリー号という名が付けられている。世界初の海に浮かぶ水族館なのだそうだ。

 入江を仕切ったようなかたちで水族館のエリアが形作られていて、桟橋をてくてくと100mほど歩いていくと、まっただ中に浮かぶ「本館」にたどりつく。内部には400トンの大水槽が組み込まれていて、海の中気分。
 海上から入江を見渡せば、イルカの泳ぐ海上ステージや、ボート遊びのできるゾーン、さらには(これが今一番この水族館の売りなのだが)イルカと一緒に泳げるエリアなどが広がり、海の上に浮かんでいる感を満たしてくれる。
 現在の本館は1993(平成5)年に製造されたもので「船種 非自航船(係留船)/排水量1300トン」と記されたプレートが架かっている。本館といえども、れっきとしたなのだ。

 さて、例によって展示品で刮目すべきは何かというのをチェックしていくと、この館はサメの展示がお得意のようだ。それも遠い海に棲むサメではなく、伊豆沿岸のサメだ。ナヌカザメ、ドチザメ、ネコザメなど、現在10種類前後が飼育されており、時期によってはハゼのように群れるサメの子どもを見ることができる。
 また、伊豆半島周辺にしか棲んでいないイズハナトラザメは、1985(昭和60)年に発見され、1992(平成4)年に新種と報告されたサメで、この水族館でしか見られないという折り紙付きだ。

 ところで、この水族館。海上に浮かんでいることもあって、客がいっぱい入ると建物が傾くのだ。とくに「イルカショーだ!!」といって客が片舷に集まる時などがイケナイ。岸から観察していると明らかに館が傾いているのである。
 もっともそのままひっくり返ってしまって大惨事——というような話を聞かないところをみると、このペリー号はなかなかうまく設計されているものらしい。風光明媚な日本的海岸線の一角を仕切って、そのまま水族館に仕立てたこの施設、箱庭的な入り江の眺望を海上や海中から堪能できるスポットだ。

下田海中水族館
住所 静岡県下田市3-22-31
TEL 0558-22-3567
営業時間 9:00〜16:30(季節により変更あり)
入館料 1700円
交通 伊豆急行伊豆急下田駅よりバス7分