地底から響く歓喜の声![福井県立恐竜博物館]

福井県立恐竜博物館

福井県立恐竜博物館。日本の恐竜化石の大部分が、この地にある手取層群北谷層から発掘されている

恐竜王国・福井のシンボルでもある博物館は、恐竜の卵をモチーフにした外観が目立つ。中に入ると、近未来的な光景だ。エスカレーターで地下に降りていくのだが、まるで地底の奥深くへ行くように感じる。

福井県立恐竜博物館

入口は3階。エスカレーターを利用して階下へ降りていく

底に降りたって回廊を抜けると、目の前におびただしい数の恐竜が待ち受けている。子どもたちは待ちかねたとばかり、お目当ての恐竜の所にすっとんでいく。
これが、全身骨格だけでも44体が展示されている「恐竜の世界」ゾーンだ。見回すと視界をさえぎる柱がなく、広大な空間に恐竜化石がディスプレイされている。天井も空のように高く感じられ、圧迫感がまったくない。
外観がドーム状だったのは、この無柱空間を創るためだったのだ。

福井県立恐竜博物館

福井県立恐竜博物館の常設展示。全身骨格だけでも44体が展示されている

天井までの距離は37.5mという。そのため、全長15m、高さ5mにもなるカマラサウルスものびのびと展示されている。なお、展示空間は一部、壁が鏡になっているので、このような記念写真を撮ることもできる。

福井県立恐竜博物館

天井が高いため、高さ5mのカマラサウルスものびのびと展示されている


福井県立恐竜博物館

ドーム型をした博物館は、恐竜という大型展示物に特化した造りになっている

そして、博物館ご自慢の「福井の恐竜」コーナーだ。
そもそも、福井県が恐竜王国と呼ばれるようになったのは、1982(昭和57)年、勝山市北谷の手取層群北谷層(てとりそうぐんきただにそう)から中生代白亜紀前期のワニの全身骨格化石が発見されたことに端を発する。この一件で当地の地質学的な重要性が改めて認識され、1988(昭和63)年に福井県が実施した予備調査では小型肉食恐竜の歯を発見。

福井県立恐竜博物館

福井産の化石標本と復元骨格とが展示されている。写真は、フクイサウルスと名付けられたイグアノドン類の草食恐竜

翌年から行われた発掘調査事業は、現在まで四半世紀以上にわたり、その間、イグアノドン類の草食恐竜フクイサウルス・テトリエンシス Fukuisaurus tetoriensis 、アロサウルス上科の肉食恐竜フクイラプトル・キタダニエンシス Fukuiraptor kitadaniensis 、竜脚類の草食恐竜フクイティタン・ニッポネンシス Fukuititan nipponensis などが発見されている。

福井県立恐竜博物館

同じく福井産のフクイラプトル・キタダニエンシス。鋭い歯と爪をもつ肉食恐竜で、走るのが速そうな長い後ろ足をもつ

恐竜以外にも、地球における生命の歴史を一望できる化石標本がある。
甲羅が4mを超す巨大なウミガメ・アーケロンや新生代始新世のクジラの祖先パキケタスなどだ。パキケタスには足があり、見かけは現生のクジラと似ても似つかないが、耳の骨にクジラだけにみられる特徴があるという。

福井県立恐竜博物館

恐竜以外の化石標本の品揃えも見事だ。写真はクジラの祖先パキケタス


福井県立恐竜博物館

イカまで化石になっているのには驚いた

始祖鳥の復元模型や、1996(平成8)年に発見され、それまでの恐竜史をがらりと書き換えてしまった羽毛恐竜・シノサウロプテリクスもレプリカながら展示してある。
かつて恐竜が繁栄していたのはご存じの通りだが、恐竜の一部はその後も鳥類として地球上に分布している。鳥類は約1万種と言われ、これはわれわれ哺乳類の倍である。その点から見れば、依然として恐竜の繁栄は続いていると言ってもいいのかもしれない。

福井県立恐竜博物館

世界で初めて発見された、羽毛をもった恐竜シノサウロプテリクス(展示はレプリカ)。恐竜の鳥類起源説を決定づけた存在だ

化石クリーニング室や、触れることのできる化石コーナーがあるダイノラボなどをのぞきながら、再びエスカレーターの上へ戻ってきた。

福井県立恐竜博物館

のぞきこむと、地底から声が湧き上がってくる

「国際空港かなにかのターミナルみたいな光景だな」と下をのぞき込むと、入ってきた時には気付かなかったのだが、地の底の方から声が聞こえる。
「○○ちゃーん、走っちゃだーめでしょー!」「おとうさん、きょうりゅういたよー」「すごいよー」「ウェーイwwwww」
建屋がドーム型になっているためか、展示室の歓声が上の方に響き渡ってくるのだ。ときどき、大人の歓喜の声もまじっている。

福井県の恐竜化石発掘調査は、現在、第4次の調査事業が行われている。恐竜の卵や幼体の骨なども見つかっているという。今後も歓声がいっそう響き渡るような、そんな発掘調査の成果を楽しみに待つとしよう。

福井県立恐竜博物館

恐竜以外にも、地球の歴史を一望できる展示構成になっている

福井県立恐竜博物館
住所 福井県勝山市村岡町寺尾51-11
開館 9:00〜17:00(季節により延長あり)
休館日 第2・4水曜日(祝日の時は翌日が休館、夏休み期間は無休)、年末年始
入館料 一般700円、高・大学生410円、小中学生260円(特別展は別途)
交通 えちぜん鉄道勝山永平寺線勝山駅よりコミュニティバス15分
開館年 2000年7月14日
ワンポイント 手取層群北谷層を見学しながら化石の発掘体験ができるツアー形式の「野外恐竜博物館」もある。4月下旬から11月上旬まで開催される人気のツアーで、福井県立恐竜博物館サイト内の予約ページから申し込むことができる。