「古墳時代のおにぎり」を公開展示、横浜市歴史博物館で

古墳時代のおにぎりの展示(横浜市歴史博物館)

横浜市歴史博物館で展示されている「古墳時代のおにぎり」。左は復元模型

横浜市歴史博物館(横浜市都筑区)では、現在開催中の企画展「君も今日から考古学者!横浜発掘物語2019」において、「古墳時代のおにぎり」の実物を展示している。会期は2019年4月6日~6月2日。
同展は、考古学を小学生などにも理解しやすいように解説した企画展で、横浜市域からの出土資料を中心に構成されている。「古墳時代のおにぎり」は横浜市都筑区の古墳時代後期の遺跡から出土したもので、同館が監修した『おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語』の刊行記念として、特設コーナーで展示された。


古墳時代のおにぎりの展示(横浜市歴史博物館)

「古墳時代のおにぎり」のアップ。塊の大きさは15cm弱で、コメは玄米と見られている

おにぎりといっても、もちろん生のままではなく、真っ黒に炭化している。発掘されたのは1983(昭和58)年で、当初はそれほど注目されていなかったが、CTスキャンで解析したところ、握りこぶし大の複数のご飯塊(=おにぎり)が大きな塊になったものと判明した。また、表面にも網代編みの籠の跡が残されており、「古墳時代のお弁当箱」に入れられていた可能性があるという。

この「古墳時代のおにぎり」は単に見た目のインパクトが奇抜だという話ではなく、古墳時代の炊飯事情を伝える貴重な資料となっている。

古墳時代後期の炊飯方法は、現代の『水とお米を入れて炊くとちょうど水分がなくなって炊きたてのご飯ができる』炊き干し法ではなく、『甑(蒸し器)を用いて蒸していた』と考えられている。これは弥生時代の『土器に水とお米を入れてゆでる』炊飯方法ともまた異なる。この調理方法の違いは、弥生時代から古墳時代、そして古代にかけてコメの品種がチェンジしていったからではないかと見られている。

同館では、弥生時代と古墳時代の復元土器を使用しての炊飯実験も行っているが、この「古墳時代のおにぎり」はそれらの検証作業に貴重なヒントを与えてくれる存在となっている。

古墳時代のおにぎりの展示(横浜市歴史博物館)

炊飯に用いた古墳時代の土器と、復元土器を用いた炊飯実験を説明したパネル

このほか、同じく都筑区から出土した「銭入りおにぎり」(中世)や、横浜市磯子区から「針のような金属片が入ったおにぎり」(中世)なども展示されている。いずれも現在の民俗例にはない風習だが、おにぎりに物を入れるというのは、その当時までにおにぎりに具を入れる食文化があったことを示唆している。

古墳時代のおにぎりの展示(横浜市歴史博物館)

おにぎりに銭が入っていた事例。左が復元。中世の墓地から出土したもので、死者に持たせる「六文銭」のような意味があったのかもしれない

大昔の生活がわかる遺跡というと、三内丸山や登呂遺跡、吉野ヶ里といった有名どころが頭に浮かぶが、地域のローカルな遺跡や資料からでも「日本人とコメ」といった大きなテーマにアプローチできるのだということを、これらの黒焦げのおにぎりは教えてくれるのである。

同展ではこのほか、弥生時代の生活についての質問をパネルと実物資料で答える「弥生人に質問だ!」コーナーや、VRゴーグルをかけての遺跡めぐり(会期中の土日祝日開催)などがある。

横浜市歴史博物館「君も今日から考古学者!横浜発掘物語2019」展

「土器はだれでも上手に作れたの?」という質問に、『へたくそな土器』の実物を示して答える「弥生人に質問だ!」コーナー

横浜市歴史博物館「君も今日から考古学者!横浜発掘物語2019」展
住所 横浜市都筑区中川中央1-18-1
TEL 045-912-7777
会期 2019年4月6日~6月2日
開館時間 9:00〜17:00
観覧料 一般300円、高校〜大学生200円、中小学生100円(毎週土曜日は小・中学生と高校生は無料)
交通 横浜市営地下鉄センター北駅より徒歩5分