加曽利貝塚まつりにイボキサゴが登場

2017(平成29)年10月、貝塚として初めて特別史跡に指定された加曽利貝塚(千葉市若葉区)では、2018年5月5日・6日の両日、「縄文春まつり」を開催する。ドローンの操作体験や石器による魚の解体ショー、火おこしなどの縄文体験などが行われる。

その中でも一風変わっているのが、〈イボキサゴスープの無料配布〉や〈イボキサゴで出汁を取ったラーメンやたこ焼きなどの絶品グルメ〉の販売だ。イボキサゴは殻径2cmほどの巻き貝で、砂や泥のある海岸に棲む。なぜ、同イベントがやたらイボキサゴ推しなのかというと、千葉の貝塚からはこの貝が大量に出土しているというのだ。
例えば、有吉北貝塚(千葉市緑区)では、ハマグリ9%に対してイボキサゴ86%。当時の縄文人がどれだけイボキサゴ好きだったかというのが伺える。

ところが、出土するイボキサゴは平均殻径13.1mm。楊枝の先で身をほじりだしたって、腹の足しにはなりそうにもない。なんだって、そんな小さな、歩留まりの悪い貝を貝塚の9割近くも集めたのか?

実はこれが「出汁」に使われていたのではないかという説がある(西野雅人「縄文時代の通年定住型集落を支えた食」『千葉県文化財センター研究紀要24号』2005年)。縄文人が土器を利用して、堅果類・根茎類などの植物を調理するとき、貝や小魚で味を調えたのではないかというのだ。

貝塚の貝層の分析から、これらの貝は通年にわたって採捕されており、日常的な利用だったようだ。安定して利用できる調味料(貝)の存在は、そこで暮らす縄文人にとって大きな魅力だったことだろう。
「縄文春まつり」で提供されるイボキサゴ出汁の食品は、それを実際に自分の舌で確かめてみる絶好の機会というわけだ。