渡って楽しんでこそ「橋」[瀬戸大橋架橋記念館]

瀬戸大橋架橋記念館

※2010年3月31日をもって閉館

 瀬戸大橋ができてもう10年以上になる。瀬戸大橋が登場したことで、両岸の町村は競ってフィッシャーマンズ・ワーフや展望台の類を登場させたが、ここはちょっと毛色が違う。
 建物の外観からして太鼓橋。これが実際にてっぺんまでよじ登れるというのだ。

瀬戸大橋架橋記念館

 太鼓橋なので頂上も段々のついたゆるやかな傾斜になっているのだが、天気のいい日にはここでお茶などを飲むのもいい。
 博物館のでの飲食を禁じているところは多いが、ここは「ゴミは持ち帰るように」とあるだけで、博物館のでの飲食を禁じている様子はなかった。

瀬戸大橋架橋記念館

 さて、館内にはいると、そこにもまた橋がある。屋上屋という言葉があるが、橋内橋というべきか。
 かつて400年前のヴェネチアで計画され、技術的な理由により実現しなかったという「リアルト橋」なるものの復元である。こちらの橋もまた歩いて渡ることができる。

瀬戸大橋架橋記念館

 なお、その上の天井には、中世日本の旅職人や大道商人、くぐつ師など、河原や橋の下を住処とした河原者たちが描かれている。建物の太鼓橋の下にあたる天井部分に、この、橋の下の者を描いているわけだ。

 さて、「リアルト橋」だが、その橋の下や柱の間には、古今東西の橋に関する展示が並ぶ。
 パネルや図面のあいだに模型などをはさみこむように配してあり、往々に技術系の展示館でありがちな見物している際の単調さを感じさせないように作られている。

瀬戸大橋架橋記念館

 一口に橋の模型といっても、瀬戸大橋の500分の1縮尺模型からはじまり、古代ローマの水道橋やカシミールの木橋、橋の上に建物がずらりと並ぶロンドン橋、世界最初の鉄製の橋であるコールブルックデール橋など多岐に渡る。
 なかには、葛飾北斎が描いた、川や谷に橋が100あまりもかかっている幻想的な浮世絵「夢の百橋」をジオラマにしたものもある。

瀬戸大橋架橋記念館

 右写真のような、なんの現代芸術かと見まごうようなものも「橋」に関連する展示であったりするのだ。
 「フォース橋」という橋は天秤の原理を応用して造られた。これはそのことをわかりやすく(?)示している模型なのだという。

瀬戸大橋架橋記念館

 こんな気取った展示だけではない。この時はたまたま、子供向けの館内オリエンテーリングで、「橋博士になろう」という企画展が行われていたのだが、これが、模造紙に手書きである。
 橋の構造や橋の種類などからはじまり、文学に出てくる橋、伝説の橋、日本にある世界一の橋などを説明している。
 そのなかの1枚には「歌に出てくる橋」と称して、

 長崎ブルース(どうすりゃいいのさ思案橋…)
 雨の御堂筋(梅田新道、心斎橋と…)
 中の島ブルース(泣いて別れた淀屋橋…)
 東京だよおっかさん(あれが二重橋…)

 などと、タイトルと歌詞を示して説明しているものもあり、手作りのにおいがぷんぷんしていてほほえましい(だが曲目が、子供にはかなり厳しいと見た…)。
 
瀬戸大橋架橋記念館 瀬戸大橋架橋記念館

 屋外にはすぐ隣接して10の橋を配した「橋の公園」がある。ここでは、先ほど説明を読んだり模型を見たりしたばかりの様々な橋を実際に渡って楽しめる。
 舟をつなげた舟橋がどれぐらい揺れるのか、浅瀬に杭を立てて板を並べた八ツ橋を渡るのはどんな気分なのかなど、ここで実感できるわけだ。

瀬戸大橋架橋記念館

 瀬戸大橋に限らず、大型の架橋がある所には、橋を展望させるだけで、あとは模型でも置いてお茶を濁すという施設が少なからずある。
 だが、ここは眺めさせるのではなく、「渡って楽しませる」というポリシーが感じられて、なかなか心にくい。

瀬戸大橋架橋記念館 瀬戸大橋架橋記念館
瀬戸大橋架橋記念館
住所 岡山県倉敷市児島味野2-2-38
交通 JR瀬戸大橋線児島駅より徒歩10分
追記 2004(平成16)年4月に地域住民のための公民館的な施設へ衣替えした。展示品は一部そのまま残され、観覧は可能だった。2010(平成22)年3月31日に観光施設としての運営を終了し、閉館した。現在は児島市民交流センターとして運営されている。