我が身を売る天然記念物![シロヘビ観覧所]


 名勝の錦帯橋で知られる岩国市にはご自慢の天然記念物がいる。全身真っ白で目だけが赤く輝いているシロヘビである。市内には2か所のシロヘビ観覧所があるが、錦帯橋を渡った吉香公園にある観覧所が観光のついでに便利だ。

 公園内をうろついていると「シロヘビ」と、これ以上わかりやすいモノはないくらい大きく書かれた看板が立っているので、場所はすぐわかる。
 シロヘビの正体はアルビノのアオダイショウだ。最近ではアルビノのカメだのカエルだのも珍しくないので、ただぼーっと見ていると「なんだアルビノか」で終わってしまうかもしれないが、なぜかここ岩国市一帯ではアルビノのアオダイショウの発生率が高い。

 古くからシロヘビは神のお使いとして地域で大事にされてきたそうだ。そのため、目立ちやすく天敵に狙われやすいアルビノの個体でも生き残れたということもあろう。

 しかし、正常型のアオダイショウも市内には多数生息しているにもかかわらず、なぜかこのエリアだけで、しかも自然状態のままで、アルビノの集団が淘汰されずにきているのだ。この点は非常に謎だ。代々大切にしてきたという人為的な要因と、ヘビ自身の持っている生物的な要因が絶妙なバランスで、この集団を維持させてきたのだろうか。

 観覧所にはシロヘビの発見場所をマーキングしたマップがあるが、かなり狭いエリアに集中して生息している。瓦屋根や土壁、土塀、石垣、水路などの昔ながらの建物が残っている所がお好みのようで、ご多分にもれず年々発見例が減少していっているという。
 なので、観覧所のほかに、シロヘビ増殖のための野外放飼場などを設け、飼育や餌付け、繁殖を行っている。

 観覧所内には生体のほか、巨大な抜け殻や卵の標本、お守り、絵馬、論文の抄訳、パネル写真などが展示。
 シロヘビの抜け殻を収めたお守りは商売繁盛や開運のご利益があるとかで、出口でちゃんと売っている。

 ちゃっかりしているなどというなかれ。世の中に、ただ一方的に保護されているだけの天然記念物は数多いが、わが身をそいで、文字通り自分の体を売って、自分とその同族のための施設の運営資金をかせぐという天然記念物はそうはいない。
 これも長年地域で人蛇一体となって暮らしてきたからこそなせる技だろう。

シロヘビ観覧所
住所 山口県岩国市横山2-6(吉香公園内)
TEL 0827-43-4888
交通 JR山陽本線岩国駅よりバス15分「錦帯橋」下車徒歩5分