日本一 海に近い駅[JR信越本線青海川駅]

旅といえば鉄道。鉄道マニアでなくても、駅自体が旅情を誘うこともある。『日本一 海に近い駅』とのふれこみのJR信越本線の青海川駅もそんな駅のひとつだ。
ポスターやドラマのロケなどで幾度となく使われている。

ホームに降り立つと、日本海が向こう一面に広がる。のぞき込めば、ホームのすぐ真下の護岸部分まで波が洗っている。
これで海や空の色がどんよりしていたら、また印象も異なるのだろうが、今日は快晴で、じつに開放的な気分。文庫本でも開けば「青春18きっぷ」の世界だ。
こういう駅は、次の列車まで2時間待ちなどということもあって、暇つぶしに苦労させられるものだが、幸いここは20分も歩けば、見どころが多い。


駅前は海と反対側にある。
駅前とは名ばかりのほんの小さなスペースだ。見上げると、谷間に大きな橋が架かっている。青い空に真っ赤な橋が映えて、これもポスターになりそうな題材だ。これが国道8号線の「米山大橋」である。
駅前の案内板を見ながら、右手の旧北国街道をたどる。明治天皇もこの道を通ったというが、農家の庭先に入っていってしまうんじゃないかと思うほど細い。
道は斜面を急登し、振り返るたびに青海川の駅がどんどん小さくなっていく。登りきったところで国道に合流。


そのまま徒歩で、さっき下から見上げた「米山大橋」を渡る。高さ53m、なかなかスリリングである。青海川の駅がまるで箱庭のように見える。
この橋がない時分は、さっきの旧北国街道をたどって、いったん谷間に降りてまた登って来なければならなかったわけで、昔日の旅のたいへんさがわかろうというもの。


橋を渡り終え、左手の崖にハデな壁画が見えてくると、これが「日本海フッシャーマンズケープ」の目印だ。土産物屋やレストランが並び、団体バスが横付けされて、観光客で賑わっている。
そんななかでのイチオシは、「日本海鮮魚センター」である。水揚げされたばかりで眼も活き活きとした魚たちが、魚種も雑多に売りに出されている。銀鱗をきらめかすイナダや虹色に輝くシイラなどは、「うまそう」という域を超えてむしろ「美しい」とすら感じる。
帰途はもう一度駅まで戻ってもいいが、ここからバスに乗れば、柏崎まで約20分で到着する。
JR信越本線青海川駅 | |
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住所 | 新潟県柏崎市大字青海川 |
交通 | JR信越本線青海川駅下車(「日本海フッシャーマンズケープ」へは徒歩20分) |
ワンポイント | 2007(平成19)年7月の新潟県中越沖地震で崖崩れのため被災。2か月後に復旧し、駅舎及びホームが改修された。 |