富士山登拝に欠かせない宿坊と拝礼の屋敷、御師住宅[小佐野家復原住宅「御師住宅」/御師旧外川家住宅]

富士吉田市歴史民俗博物館・御師住宅(小佐野家住宅復原)

一番奥の間に設けられた神殿。富士吉田市歴史民俗博物館付属施設の小佐野家復原住宅「御師住宅」で

富士山は古来から信仰の山だった。遠方からでもその姿を認めることができる勇壮な姿に加え、時には噴煙をたなびかせていたわけだから、昔の人々が、これに神威を見たとしても不思議ではない。

しかし、富士山は信仰の山でありながら、その自然環境の厳しさから、かつては「遙拝の山」だった。登拝する者はわずかでそのほとんどが山岳修験者だったが、江戸時代になると「講」を結成して、町や村から集団で組織的に富士山登拝をする動きが現れた。


富士吉田市歴史民俗博物館付属施設・小佐野家復原住宅「御師住宅」

富士山に登拝しようとする信者は御師の家を宿坊とした(小佐野家復原住宅「御師住宅」)

これが「富士講」で、講中で信仰を深めると同時に資金を用立てた。登山道の起点で彼らを世話したのが「御師(おし)」と呼ばれる人たちで、信者は御師の家を宿坊とし、御師の手引きで拝礼の儀などを行い、富士登山に向かった。現在の富士吉田市の付近は、御師住宅が建ち並ぶ大規模な集落を形成していたという。

富士吉田市歴史民俗博物館付属施設・御師旧外川家住宅

御師旧外川家住宅。主屋は1768(明和5)年の建造

この御師の住宅を、富士吉田市歴史民俗博物館の関連施設で見ることができる。博物館の敷地内にある小佐野家復原住宅「御師住宅」と、富士急行富士山駅から徒歩5分の所にある「御師 旧外川家住宅」だ。

富士吉田市歴史民俗博物館・御師住宅(小佐野家住宅復原)

宿坊としても使用するので、住宅は広く且つ細長い。奥に神殿が見える(小佐野家復原住宅「御師住宅」)

どちらの住宅も奥行きがあり、細長い間取りが特徴だ。室内をたどっていくと、奥には神殿が祀られている。富士講の人たちは宿坊でもある御師の家に着いた際、玄関から入って、いくつかの居間や座敷や広縁を通り、細長い間取りをどんどんと奥の間へたどっていき、最後、どーんと神殿があるわけで、これは宗教的演出としては効果的だったことだろう。

富士吉田市歴史民俗博物館付属施設・小佐野家復原住宅「御師住宅」

小佐野家復原住宅「御師住宅」の間取り。細長い造りが特徴だ

この広大な屋敷全体も、もちろん旅籠などとは違い、どこか身の引き締まるようなたたずまいだ。

富士吉田市歴史民俗博物館付属施設・小佐野家復原住宅「御師住宅」

小佐野家復原住宅「御師住宅」の神殿側から玄関を望む

旧外川家住宅の門の脇には「ヤーナ川(間の川)」と呼ばれる小さな川が流れている。川と言うにはあまりに小さく、水路という感じだが、信者たちはここで身を清めて富士登山に向かったという。

富士吉田市歴史民俗博物館付属施設・御師旧外川家住宅

御師旧外川家住宅の門の脇を流れる「ヤーナ川(間の川)」

小佐野家復原住宅「御師住宅」(富士吉田市歴史民俗博物館敷地内)
住所 山梨県富士吉田市上吉田2288-1
TEL 0555-24-2411(富士吉田市歴史民俗博物館)
開館 9:30〜17:00(火曜〔祝日を除く〕、祝日の翌日〔日曜・祝日を除く〕、年末年始休館)
入館料 一般300円、小〜高校生150円(小佐野家復原住宅「御師住宅」見学のみの場合は無料)
交通 富士急行富士山駅よりバス15分「サンパーク富士」下車
ワンポイント 【追記】富士吉田市歴史民俗博物館は、2015年4月4日にリニューアルを行い、ふじさんミュージアム(富士吉田市歴史民俗博物館)となった。小佐野家復原住宅「御師住宅」見学のみの場合は無料。
博物館付属施設 御師旧外川家住宅
住所 山梨県富士吉田市上吉田3-14-8
TEL 0555-22-1101
開館 9:30〜17:00(火曜〔祝日を除く〕、祝日の翌日〔日曜・祝日を除く〕、年末年始休館)
入館料 単館見学の場合:一般100円、小〜高校生50円
交通 富士急行富士山駅から徒歩10分
ワンポイント 【追記】富士吉田市歴史民俗博物館は、2015年4月4日にリニューアルを行い、ふじさんミュージアム(富士吉田市歴史民俗博物館)となった。当日に限り、ふじさんミュージアムのチケットで、御師旧外川家住宅も観覧できる。富士山レーダードーム館を加えた共通入館券も発売されている。