巨体を休める富士山観測の立役者[富士山レーダードーム館]

富士山レーダードーム館

気象体験コーナーや台風観測の疑似体験コーナーも設けられている

「道の駅富士吉田」を訪れると、目の前に雄大な富士の姿が広がる。その脇に白いドームの建物がある。これがかつて富士山頂にあって気象観測に活躍した旧富士山測候所だ。気象衛星などの登場によって、1999(平成11)年にその役割を終え、現在はここに移築され、体験学習施設「富士山レーダードーム館」として余生を送っている。

レーダー建設が着工されたのは1963(昭和38)年。気象観測体制も十分ではなく、しばしば大型台風の被害に見舞われていた時代、日本で一番高い富士山頂にレーダーを造り、南方から接近してくる台風を、早期に発見しようという使命を帯びて建設が進められ、翌年完成。1965(昭和40)年から運用された。

工事のクライマックスは、ヘリコプターによるレーダードームの山頂への空輸である。気流の変化が激しく、一歩間違うと墜落しかねないという難事業を見事成功させた様子は、NHK番組「プロジェクトX」の第1回目放送でも取り上げられた。

館内のシアターではそのドキュメンタリーが上映されているほか、山頂の建設現場の動く模型ジオラマでも再現、さらに空輸成功の瞬間の写真はクリアファイルとなってミュージアムショップで販売されている。

富士山レーダードーム館

レーダードーム(建物の屋根の丸い部分)をヘリコプターで富士山頂へ運び上げ、基地にかぶせるという離れ業で完成させた

建設当時、気象庁の職員だった作家・新田次郎のコーナーや、レーダードームができる以前の富士山測候所の歩みを示した展示もある。
また、2階の体験コーナーでは、気温マイナス5℃、風速13mという富士山頂の気象を送風機によって体感できる(夏は貸出用の上着がある)。これが5月頃の気温だというから驚く。現在は五合目まで車などで気楽に上れてしまうため、ほいほいと軽装で登ろうとする人もいるそうだが、やはり山をなめてはいけない。

最後、3階まで上がるとドームの中で直径5mの実物のレーダーがおり、驚くべきことに今なお動いている。もちろんレーダーとしての役目はすでに終えているが、それでもかつて山頂でそうしていたように今も律儀に1分間に2回転の速度でまわり、己が健在ぶりを示している。

富士山レーダードーム館

2階部分は屋外に出ることができる。写真は、山頂レーダーからのデータを東京の気象庁へと転送したレーダーリレーアンテナ(模型)

富士山レーダードーム館
住所 山梨県富士吉田市新屋1936-1
TEL 0555-20-0223
開館 9:00〜17:00(火曜〔祝日の場合は翌日〕休館。8月は無休)
入館料 一般600円、小中学生400円
交通 富士急行富士山駅よりバス15分「サンパーク富士」下車
開館年 2004年8月
ワンポイント 富士山レーダードーム館、富士吉田市歴史民俗博物館(2015年4月より「ふじさんミュージアム」)、御師旧外川家住宅3館の共通入館券がある。