日本初の野外博物館の現在[日本民家集落博物館]

飛騨白川の合掌造りにはじまり、南部の曲り家、椎葉村の民家、奄美大島の高倉、大阪堂島の米倉、堺で使われていた風車など11棟の民家が、大阪の服部緑地に集まっている。
集まっている
と書いたのは、文字通り敷地にぽんぽんと置いたように建っているからで、岩手の南部曲り家の次に香川県小豆島の農村歌舞伎舞台、さらに越前敦賀の民家という具合に、地域もへったくれもなく代表的民家が登場してくるのである。
それはそれでおもしろいものの、民家を含めて環境全体を再現しようと努めている「房総のむら」や「飛騨民俗村」と対照的で、こちらの民家の扱いはむしろパビリオンに近い。
この民家園は、今を去ること半世紀も昔の1956(昭和31)年にオープン。日本で最初に設置された野外博物館ということであるので、今日から見れば住宅展示場のように感じてしまう、この展示スタイルもやむを得ないところか。

もちろん、だからといって、個々の民家の価値や博物館としての意義が終わってしまっているわけではない。
各パビリオンでは、もとい民家では、収集民具の企画展や伝統芸能ミニ講座、町の名人が自慢の芸を披露する「芸達者・町の名人発表会」などが随時行われている。

最後に、ここにご当地色を求めようと思えば、「摂津能勢(大阪府)の民家」と「堺の風車」だ(この記事トップの写真)。
とくに後者は、泉州地方で大正末期に灌漑用水のくみ上げとして使われていたもので、最盛期には700基もの風車が動いていたというから、さぞ壮観な光景だったろう。もちろん、現在ではほとんど見られなくなった。
惜しむらくは動いていない。可動専用の複製が3つ4つほど動いていてくれたら、「堺」の風を感じることができたかも知れない。
日本民家集落博物館 | |
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住所 | 大阪府豊中市服部緑地1-2 |
TEL | 06-6862-3137 |
入園料 | 500円 |
交通 | 北大阪急行線緑地公園駅より徒歩15分 |