ケーブルカーでタイムスリップ[屋島ケーブル=廃止]

屋島ケーブル

ケーブルカーは義経号と弁慶号の2台

★2004年に運行を休止、2005年廃止

屋島の見どころといえば山頂部から見る展望だ。では、その山頂部へはどうやってたどり着こうか? てっとりばやいのは車である。高松から山頂行きのバスで40分。マイカーなら山頂での駐車代は無料だ。

屋島ケーブル

屋島ケーブルの駅。ここから山頂まではケーブルでおよそ5分

だが、ここは、ぜひふもとからケーブルカーを使って登りたい。レトロな感じの琴電を屋島駅で降り、3分も歩くとケーブルの駅につく。このケーブルも琴電に負けず劣らずレトロで、車内の座席や窓枠などに年季を感じる。それもそのはずで、ケーブルは1929(昭和4)年に開業、車両は1950(昭和25)年の製造である。


屋島ケーブル

年季を感じさせる義経号の車内。2人がけのシートは現在の体格からするとやや窮屈だ

ゴトンと動き出すと「本日はケーブルカーをご利用いただきまして、誠にありがとうございます……」と女性の声でテープ放送が流れ、観光案内などをしゃべりだす。

中腹まで来た所で、車窓が一気に開け、眼下に高松市街を一望する。と、先ほどのテープ放送が突然、こんなことをいいだす。
「昭和20年、B29の焼夷弾によって廃墟になった高松の町も、今ではすっかり復興し、明るい町並みになっています……」
我々は一体いつの時代を旅しているのか? まさかテープも車両製造時のままなのか?——考える間もなく山頂に到着。およそ5分のケーブルの旅は終わる。

屋島ケーブル

屋島山上駅に到着した「義経号」

が、改札を一歩出るや、またまた古風なものに驚かされる。駅の待合い室にはテレビがずらりと並び、中を金魚が泳いでいるのだ。これは「テレビ水族館」と名付けられており、今となっては家電売場では決して見ることのできないものばかりである。

屋島ケーブル

屋島山上駅待合室に設けられた「テレビ水族館」。金魚がメインだが、ブラックバスの水槽もある


屋島ケーブル

屋島山上駅待合室。20分に1本の待ち時間は「テレビ水族館」を眺めて過ごす

駅前の道も舗装されていない。両脇の商店もなにやら懐かしい。さっきの車内放送のせいだろうか、これでオート三輪でも走って来ようものなら、まちがいなくタイムスリップしてしまっている。

振り返って駅舎を見上げるとこれまた古風。源平合戦場跡や屋島寺など、古くからの観光名所をめぐるのにふさわしい前座である。

屋島ケーブル・屋島山上駅

1929(昭和4)年築、鉄筋コンクリート造の屋島山上駅。2階以上は関係者以外は立ち入ることができない


屋島ケーブル・屋島山上駅

側面から見た屋島山上駅


屋島ケーブル

屋島山上駅の駅前風景。歩いて15分ほどで屋島寺へ至る


琴電屋島駅

緩勾配のスレート屋根を持つ木造の琴電屋島駅舎。屋島ケーブルの屋島山上駅と同じ1929(昭和4)年築で、ケーブルの開業にともない、駅を現在地に移転したもの

(掲載の写真は1999年4月撮影)

屋島ケーブル(屋島登山鉄道)=2005年廃止
住所 香川県高松市屋島中町
運行 20分毎運行
運賃 大人片道700円・往復1300円
交通 高松琴平電鉄屋島駅より徒歩3分またはJR高徳線屋島駅より徒歩15分
開業年 1929(昭和4)年
ワンポイント 【追記】屋島ケーブルは2004(平成16)年10月に運行を休止し、2005(平成17)年に廃止となった。また、屋島山上駅と琴電屋島駅は、2009(平成21)年に経済産業省により近代化産業遺産に認定された。