メガマウスが参りました[マリンワールド海の中道]

メガマウス@マリンワールド海の中道

はるばる海の彼方から博多の干潟にたどりついた一匹の魚が、マリンワールド海の中道の名を世界に轟かせた

博多湾と玄界灘をへだてる海の中道に、リゾートホテルを思わせるような外観の水族館が建つ。国内屈指の巨大水族館「マリンワールド海の中道」だ。この水族館には、世界でも唯一という特筆すべき栄誉がある。それもひょんなことからこの栄誉を一身(一館?)に浴びることになった。

メガマウス@マリンワールド海の中道

クジラとサメをあわせたようなルックスをしている

その「ひょんなこと」は1994(平成6)年11月、遥か海の彼方からやってきた。水族館から程近い干潟に「サメが座礁している」との報が入り、係員が「イルカを見間違えたか、よくてメジロザメだろう」と見に行ったところ、これがとんでもないレアものだった。1976(昭和51)年に新科新属新種のサメとして発見されて以来、たったの6体しか見つかっていない、幻のサメ「メガマウス」だったのだ。


メガマウス@マリンワールド海の中道

体長4.7m、体重780kg。その巨体はエントランスでも異彩を放つ

しかも、マリンワールドに収容された個体は、まだ未発見の、世界で初めてのメスの個体だった。関係者はすぐにメガマウス学術研究会を発足させ6か国89人の学者が参加して解剖調査やシンポジウムをおこなった。特定の魚だけを取り上げた学術研究会は、日本では1982(昭和57)年のシーラカンス学術調査隊以来だというから、その気合いの入れ方もわかろう。

メガマウス@マリンワールド海の中道

大きな口でプランクトンを濾過して食べている。その名は、メガ(巨大な)マウス(口)に由来する

ともかくも、こんなサメが海の向こうから流れ着いたために、世界的に有名な水族館になってしまった。現在では、館内のエントランスに巨大な液浸標本として展示されている。水槽のパネルには、発見時や収容の際の写真やシンポジウムで発表された学術的な知見が載っている。

メガマウス@マリンワールド海の中道

館内各所に「メガトット」が出没し、愛嬌を振りまいている

こんな貴重な物件なのだ。マリンワールドもここぞとばかりに売り出している。「メガトット」と称してキャラクター化され、プリクラまで登場した。あの風貌もキャラクター化されるとこうなる。

マリンワールド海の中道

25種類ものサメが泳ぐパノラマ大水槽


マリンワールド海の中道

福岡湾を借景に、開放的な空間を演出するショープール

改めて館内をまわると、高さ10mの吹き抜け巨大円柱水槽やイルカやアシカのショー、ラッコプール、さらに体長3mのシロワニという本邦初公開のサメが泳ぐパノラマ大水槽など、大がかりな展示が人目を引く。

マリンワールド海の中道

その日の新聞記事から自然関係の記事をクリップ

その一方で、その日の新聞各紙から、生物や自然環境に関係のある記事をスクラップして館内の掲示ボードに貼りだすような細かい工夫もされている。読んでみると、カブトガニの放流から環境問題、さらに「馬刺が人気」などという記事も貼ってあって微笑ましい。

マリンワールド海の中道

春の風物詩であるシロウオ漁の紹介と生態展示(期間限定)

さらに、博多湾に注ぐ室見川の春の風物詩であるシロウオ漁の紹介や、日本では福岡市の河川にだけ生息し、絶滅の危機にあるヒナモロコの展示など、地元にまつわるトピックス的な展示も行われている。こちらの方は期間限定のものが多いが、訪れた時にはぜひ見逃さないようにしたい。

マリンワールド海の中道

マリンワールド海の中道は、博多の沖合を流れる「対馬暖流」を展示テーマとしている


マリンワールド海の中道

リゾートホテルを思わせる外観

マリンワールド海の中道
住所 福岡県福岡市東区大字西戸崎18-28
TEL 092-603-0400
開館 9:30〜17:30(開館時間は季節により変更あり。2月に休館日あり)
観覧料 大人2100円、中学生1150円、小学生800円
交通 JR香椎線海の中道駅より徒歩7分
開館年 1989(平成元)年4月18日
ワンポイント 【追記】メガマウスはその後、日本各地でも発見されている。東海大学海洋科学博物館では、2003年にオスが、また2014年にはメスが捕獲され、ともに剥製として公開されている。