ある時はバレーボール、またある時は頭蓋骨、しかしその正体は…[オニフスベ]
- 2015年6月11日(木)
- 博物図鑑
見た目は空気が抜けてつぶれたバレーボールのようだ。大きさもちょうどそれぐらい。近寄ってみると、外皮に細かいしわが走っている。これでもれっきとしたキノコである。
キノコだとわかっているからいいようなものの、そうでなかったら薄気味悪い。「頭蓋骨が転がっている」と騒ぎになるというのも頷ける。
オニフスベCalvatia nipponicaのフスベとは瘤のことであり、夏から秋にかけて発生する。大きくなると白い外皮が剥がれて茶色くなり、胞子の塊が露出して胞子を飛ばし、やがて朽ちていく。あたりを見回すと茶色くなった個体や残骸がいくつか見つかった。
幼菌ははんぺんのような食感があり、食用になるという。が、今回は外皮がやや剥がれかけていたのと、ナメクジが占有権を主張していたので、遠慮した。
日本の特産だが、決して珍しいキノコではなく、人家の庭や公園、竹藪などで見られる。鉄道のホームの脇や空港の滑走路の隅にも生えていることがあるそうだ。
写真は数年前に千葉県内陸部の山林の脇で出会ったもの。その後何度かそこを通りかかるたびにのぞいているのだが、タイミングが悪いのか、以後見かけたことはない。
遠くから見るとこのような感じで、一見してキノコとは思えない。
ボールか、さもなくばカップ麺の容器か、コンビニ袋に入ったゴミか、こういうキノコがあると知らなければ、近寄ろうとも思わなかっただろう。
中学校の時に、体育館裏の土手のところに、うち捨てられたようにバレーボールが2つ3つ転がっていることがあった。はなからバレーボールと決めつけて、気にもとめなかったのだが、もしかするとあれがオニフスベだったかもしれない。
今度、母校を訪ねる機会があったらのぞいてみよう。
オニフスベ(Calvatia nipponica) | |
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分類 | ハラタケ目ハラタケ科ノウタケ属 |
大きさ | 直径20〜50cm |
分布 | 日本(近縁種が世界中に分布する) |
生育地 | 人家の庭先や公園の林の中、竹藪など。 |