[今日は何の日]冨江さんの日

琵琶湖博物館

「冨江さんってだれ?」という疑問はもっともである。
冨江さんは彦根市本庄町に、若夫婦と赤ちゃん、そしておじいさん、おばあさんの5人家族でお住まいである。今日の献立は家の畑で獲れた野菜、近くの川で獲ってきた魚。あと、豆腐は村の商店から買ってきたそうだ。

今日は風呂を沸かす日だったろうか、もしそうならカワヤ(水場)から水を汲んでこなければならない。1回で12杯ほどのバケツの水が必要だ——そんな1964(昭和39)年のこの日の冨江さんの暮らしが滋賀県立琵琶湖博物館に復元されている。

琵琶湖博物館

冨江さんは琵琶湖の東岸で、農村の暮らしを営む一家であったが、上下水道が完備する以前の農家の水利用や当時の生活様式がわかる展示として、実際の冨江家が博物館の館内に移築・再建されているのだ。その時代設定が1964(昭和39)年の5月10日なのである。

台所には最新式の電気洗濯機が置かれているが、洗濯や調理などの水は川から引いてきていた。

琵琶湖博物館・民家の2層の流し

川の水を利用するカワヤ(水場)は2槽に分かれて、上の槽(カミナガシ)は食器洗いなどにつかい、下の槽(シモナガシ)では野菜の泥落としなどをする。

最後の槽ではコイを飼っていることが多かったそうだ。このコイは、食器洗いの時に流れ出す残飯を餌にして育ち、家の祝事の際にはシメられて祝膳にあがったという。

琵琶湖博物館

普通だったら建物が展示してあるだけで終わってしまうところだが、実際に水が流れ、カワヤの槽では本物のコイが泳いでいたりするライブ感が素晴らしい。
物干しにある布団や、傍らの洗濯板にさりげなく「解説板」が設置されている点もユニークだ。

琵琶湖を訪れた際は、ぜひ立ち寄って、水利用の変遷を見学すると同時に、琵琶湖博物館が得意とする細かい作り込みを堪能していただきたい。