実物大で展開する愛媛の町並み[愛媛県歴史文化博物館]

愛媛県歴史文化博物館

 江戸時代の面影がある卯之町を通り抜け、「イノシシに注意!」と書かれた遊歩道をたどること15分。丘を登りきった所に、唐突に大型博物館がそびえている。
 これが、愛媛県歴史文化博物館。原始から現代までをたどる「歴史展示」と、愛媛の祭りや芸能を紹介する「民俗展示」の2大ゾーンを中心に構成されている。

愛媛県歴史文化博物館

 家屋や船、電車などを実物大で復元展示してあるのが見どころで、中世の民衆の住居、戦国時代の船、昭和の商店街などが次々と現れてくる。
 「歴史展示」の中世のゾーンには、藤原純友のロボット(人形)がいた。スイッチを押すと「純友の乱」についての説明をしてくれる。だが、「なぜ反乱を起こしたのか?」「平将門の乱についてはどの程度情報を知っていたか?」という核心には一切触れず、史実の流れを説明するのみで一方的に会見を打ち切った(まぁ、無理もないことかもしれないが)。

愛媛県歴史文化博物館

 「民俗展示」では、里の民家、海の民家、山の民家がそれぞれ実物大で再現され、民家の造りはもちろん、暮らし方や食生活の違いなどが、膳に置かれた食事、庭先に植えられた作物などからうかがい知ることができる。
 同時に愛媛県というのが、漁業をメインとした海岸部、商業で賑わう川沿いの里、険峻な山間部という、起伏に富んだ、地理的に多様な環境から構成されていることがわかる。

愛媛県歴史文化博物館

 この博物館の特徴でもある実物大展示は、中世の住居は今治市の片山内福間遺跡、江戸の商家は内子の染物商といった具合に、県内各地にモデルがある。
 中でも見応えがあるのは、愛媛最大の繁華街でもある松山・大街道の昭和初期の姿を再現したコーナーだ。
 市内電車は1923(大正12)年に製造された伊予鉄道の車両。うどん屋、菓子屋などが軒を連ねている。
 うどん屋と言っても、高欄や竪格子などを持った木造3階建て(室内の再現展示は1階部分のみ)の大規模なもので、同地のシンボルでもある道後温泉本館にインスパイアされたと思われる地域性を感じさせる。

愛媛県歴史文化博物館

 菓子屋では饅頭などに混じって、城下街らしい和菓子もちらほら見受けられる。
 傍らの説明板によると、ほどなくタルトなども販売されるようになったそうだ。
 順路を進むうちに洋品店、電気屋、駄菓子屋などが現れてきて、時代が徐々に現在に近づいていく。

愛媛県歴史文化博物館

 最近は、昭和の再現展示も各地の博物館でさかんになされているが、このような展示からその土地の個性をさがしだしてみるのもおもしろい。
 このほか、宇和島の牛鬼(写真)、西条まつりのだんじりなども実物大で展示されている。
 これは祭りの時になかなか眺めることができない、細部の造詣をじっくり観察できるとあって、地元の人たちにも好評のようであった。

愛媛県歴史文化博物館
住所 愛媛県西予市宇和町卯之町4-11-2
TEL 0894-62-6222
開館 9:00〜17:30(月曜・年末年始休館)
観覧料 一般510円、小中学生無料(企画展・特別展は別途)
交通 JR予讃線卯之町駅より徒歩20分
開館年 1994年11月
ワンポイント 館内にはレストランがあるが、営業時間が平日14時30分、土日15時30分(食事のオーダーストップは14時30分)までなので注意。