深海底での待ち伏せ型の生物か?[メンダコ]

メンダコ@国立科学博物館

 膜でつながり、放射状に広がった足を持つ深海性のタコ。体はゼラチン質できわめて柔らかい。
 泳ぎ方がUFOのようで、耳のようなヒレをパコパコと動かす様子が愛らしいと言われているが、飼育が難しく、各地の水族館でも短期間散発的に展示された記録があるだけで、実際に泳いでいる様子などはなかなかお目にかかれない。

 新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)では、2015年4月10日に飼育展示を終了するまで40日以上の飼育に成功し、飼育最長記録を樹立した。同館では、2013年に22日間、2014年には20日間の飼育に成功していた。このほか、沼津港深海水族館(静岡県沼津市)が27日間の飼育に成功している。

 この長期飼育の過程でいくつか新知見があったようだ。なかでも、メンダコにエサをやる際に「腕や体の上に乗せてやると良く食べる」ということが観察された。
 従来、餌付けの際に、メンダコが驚いたように泳いで逃げてしまうことがあり、餌のやり方が難しいという課題があったが、上に載せてやると、泳ぎまわることもなく、腕を体の上に伸ばして餌をつかみ口へと持っていくという。(新江ノ島水族館サイト「えのすいトリーター日誌」より)

 飼育スタッフは、この採餌体勢から、メンダコは自分の上を歩きまわるエビなどを餌にしている待ち伏せ型の生物である可能性を指摘している。
 となると、もしかしたら、あの耳のようなヒレもアンコウの擬餌状体(釣り竿)のような誘因の役割を果たしているのかもしれないと、想像がふくらむ。

 なお、蒲郡市竹島水族館(愛知県蒲郡市)の飼育員によると、メンダコは何とも言えない臭いを放ち、この臭いは魚網を引き上げてくる途中、まだ水中にある時点でも船上に漂うという。
 試食したところ、ボイルでは吸盤はタコの味がするものの、足の部分は塩味のみ。焼いてみるとゴムのようなシリコンのような噛みきれない弾力で、塩辛くしょっぱいだけだったそうだ。(蒲郡市竹島水族館「グルメハンターさんちゃんの珍生物試食記録」より)

※写真は国立科学博物館展示の標本。

 

メンダコ(Opisthoteuthis depressa)
分類 八腕形目ヒゲダコ亜目メンダコ科
大きさ 全幅約20cm
生息地 日本周辺〜東シナ海の水深200〜600m
見学スポット 新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)、沼津港深海水族館(静岡県沼津市)、鳥羽水族館(三重県鳥羽市)、サンシャイン水族館(東京都豊島区)などで飼育展示の実績あり。いずれも短期間。