[感想後記]閉館前の東急プラザで渋谷の過去に出会う—東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

 2013(平成25)年3月の東急東横線とメトロ副都心線の直通運転にともなう、東横線渋谷駅地下化に代表されるように、渋谷駅周辺は再開発が盛んだ。
 渋谷駅西口にある商業施設「東急プラザ渋谷」も、2015(平成27)年3月22日に49年間の営業に幕を下ろす。その同館6階で「東急プラザ渋谷 タイムスリップギャラリー」が開催されている(入場無料)。

 白根記念渋谷区郷土博物館(東京都渋谷区)が所蔵する、明治〜戦後の渋谷界隈の写真パネルを中心に構成され、1964(昭和39)年頃の渋谷駅ジオラマや、東急線関係の鉄道小物の展示もある。
東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

 異色なのは、1980年代に渋谷で流行ったという「サーファーディスコ」の再現コーナー(写真)だ。
 「サーファーディスコ」とは何かというと、1979(昭和54)〜83(昭和58)年にアメリカのサーフィンブームが日本にも押し寄せ、ディスコ内にもサーフボードやヤシが飾られる習俗があったという。
 音楽だけではなく、トロピカルドリンクなども楽しめ、マリン系ファッションをしたヤングたちで大いに賑わったそうだ。
 元来、サーファーとは海棲であるが、遂には格好だけサーファーのスタイルをして、海になどに出向きもしない、完全陸棲の「丘サーファー」なるものまで登場したという。まるで四肢動物の陸棲への進化を思わせるようなエピソードである。
 ギャラリーは原則撮影不可だが、サーファーディスコなど、一部撮影OKのゾーンもある。

東急プラザ渋谷 タイムスリップギャラリー 東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

 1964(昭和39)年頃の渋谷駅ジオラマは、1/150スケールで、デパートの屋上やプラネタリウムの中まで作り込まれている。現在、バスが発着している駅前エリアには都電(路面電車)がひしめいており、都心の道路交通網が完全に自動車(バス)に置き換わる前の光景をうかがわせる。

東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」 東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

 会場では、しゃれた着こなしの老夫婦が「そうだよ、ここに仁丹の広告塔があったんだよねぇ」「こっちは宮益坂の方よね」などと会話を交わしながら懐かしそうに写真に見入っていた。
 駅のターミナルの光景は、そこを行き来する人たちの当時の思いと共に脳裏に刻まれていく。町並みは、人生と共にあると言ってもいいかもしれない。

東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」

 東急プラザ渋谷は隣接地帯とともに再開発され、2018年度開業を目標とした高層複合施設になるという。
 この高層複合施設をはじめとする渋谷界隈は、今度はどんな人生と寄り添うことになるのだろうか。
 ギャラリーの出口には、建設予定の高層複合施設の巨大パネルがぽつねんと飾られていた。

 
 

東急プラザ渋谷「タイムスリップギャラリー」
住所 東京都渋谷区道玄坂1-2-2
TEL 03-3463-3851
会期 〜2015年3月22日
開場時間 10:00〜20:00(最終日3月22日は「タイムスリップギャラリー」は15時、店舗は18時終了)
入場 無料
交通 JR山手線渋谷駅西口より徒歩1分